第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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ル様だ!!」
ノスは勝ち誇る様に笑った。笑いに笑い続ける。
「ジル……千年前の、……魔王」
マリスもその名は当然知っている。歴代でも最悪の名を歴史に刻んだ魔王だから。
「あのガイめに施されたカオスの封印。この地に国なぞ造ったリーザスとやらの、奇妙に強い血の封印……。ふん。結局、力では解けなんだわ。解く資格を持つものを動かすしか手は無かった。……魔人をも通さぬとは恐れ入った話……」
忌々しそうに言うノス。
カオスとこの場所へまで続く結界。それらはすべて、この最凶の魔王を封じる為のものだったのだ。
「っ……」
全てを悟ったマリスは 言葉を失ってしまった。
魔人側に唯一対抗できるカオス。ここまで全て誘導されてしまったと言うのだ。
「わざわざ、魔人だと触れ回り、直接貴様らを追い詰めなければ、カオスに縋ろうとしなかったやもしれぬな。……いや、少々肝も冷えたのも事実か。あの人間だけは特別性ゆえ」
「…………………………………」
ジルはどこか見つめたまま、ノスの言葉にも反応はなかった。
だが、その口が空気を求めて僅かに動いただけで、淀んでいた気配が攪拌されて、周囲へと一気に広がっていく。
「う、っ……!」
「ぁ…… ぐ、り、りあ……さま」
その空気に耐えきれず、リアが口許を押さえる。
「おぉぉ…… しかし、ジル様。その雄型。本調子ではあらせられぬご様子。さぁ、ジル様。このノスに……ノスめにご命令を! 全て、貴女様に従いまする」
禍々しいものをノスが愛おしげに労る。声は歓喜に震えて夢見心地で傍に傅く。その従僕に一切目を向けるでもなく。魔王汁はゆるりと頭を揺らし、宙に浮いていた身体をおろした。そして音も無く石畳に降り立つ。
「――――――臭いな。ここは……」
ぺたぺた、とジルは歩き始めた。
ここで、ランスが漸く始動。
「ま、まてまてーーーいっ!!」
声を上げて魔王ジルの行く手を阻まんとするが、まるで反応はなかった。
「(これは、やばい。ゼッタイヤバイのは判る。だが、そこで引いてはオレ様ではない。絶世の美少女である事には変わりない! 魔王でも抱いてくれるわ!)」
やる事は1つ。と思い出したように、ランスはカオスを構えた。
「カオスで封印してたなら、し直す事だってできるだろ! そして、お仕置きしてやる! あのサテラの様に弱った所をじっくりと抱いてやろうではないか!」
剣を構えて、前に突進するランスを見て、シィルは声を上げた。
「あ、あぶ、あぶないですっ……! ランス様……!!」
だが、ランスは止まらない。剣を上げ、ジルへと突進。
「下郎めが……」
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