第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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…」
腕から流れる血を見つめ、更に怒りを全面に出すノス。
その怒りは、まるで具現化されたかのように周囲の空間を揺らし始めた。
「何をごちゃごちゃ言ってるか知らんが、斬れるというのなら とっとと首を落としてヤるわ! あのガキはお役御免だーーっ!」
剣を振り上げて首を狙おうと跳躍の構えを見せたが、ノスの次の行動を見てランスは止まった。
「ッ……! お、おおっ、……おおおおおおっ!!」
突如、ノスは感慨極まったような声を上げて跪いたのだ。
「ら、らんす……様、ランス、様……っ!」
そして聞こえるのは今までに訊いた事の無いほど震えているシィルの声。
それに反応し、反射的にランスは振り向いた。
「…………………………………………………」
そこは、カオスがあった場所。
巻かれていた鎖が粉々になり、宙に塵となって漂わせ、その中心に1人の女が浮かんでいた。
ぼにゃりとあらぬ方を見つめて佇む姿。一糸まとわぬ姿は絶景の美少女と言える。妖艶さも感じられさえもする。
足元で垂れる程に長い髪がふわりと浮き、外見ではよくできた絵画のように神秘的だった。
この世のものとは思えない程神秘的で―――、それでいてこの世のものとは思えない程の絶望を含んでいた。
「(あ…… こりゃ、やばい。やばいやつだ)」
裸の美少女。
普段のランスであれば、0.2秒もしない内に股間を膨張させて飛びつくだろう。だが、そんな気配は一切見せなかった。
ランスの頭の中には、凡そ今までに考えた事もない様な感想が浮かんでいたからだ。
その美少女は、眺めているだけで、身体が異常を来したのか? と思える程 小刻みに震え、汗が噴き出してくる。先程までは大量の光のせいで、熱く感じていた筈なのに、今は温度が判らない。
いや……悪寒を感じる。
言葉が見つからない。魔人ノスの感慨極まった声だけが静かに場に流れる。
他の者達は時が止まったかの様に、固まってしまっていた。
周囲の空気が沈みに沈み…… 浮き上がる事が出来ない地の底へと落とされた感覚に見舞われる。
――この女―――、このイキモノは、危険だ。
漸く脳が信号を発した。
異常を通り越している存在なのだと言う事を知らせた。
「ジル様…… おおおおっ、ジル、様! この時をいくら待ったことか………!」
ノスの歓喜は続いた。
そして、その名を口にした瞬間、時が再び動き出したかの様に シィルがゆっくりとその名を復唱した。
「じ、ジル……って……!」
「く、くは、くははははははははは!! そう、こちらの肩こそが先代の……、そして 真の魔王……ジ
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