暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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えていないこの場であってもそうしてしまうのは、強大過ぎる気配に圧された為と言えるだろう。

 長い時間がアイゼルの中では感じていた。
 漸く口を開き、発された言葉は。


「……終わり、か。……人類も」

 
 魔王の復活は人類の終焉を意味する。
 現代の魔王リトルプリンセスは 継承を拒み逃げ回っている為、現在の魔王は不在だったと言えるが、それは終焉を迎えた。それも最悪の魔王の復活によって。

 最早選択肢はない、と判断したアイゼル。そして サテラも同様だ。これ以上の抵抗は無意味。軍門に下るしか生き残る道はない。それをもう一度口にしようとしたのだが。


「……聞こえなかったか? そこを……どけぇ!」


 信じられない言葉を訊いた。
 それはユーリからの言葉だった。

「馬鹿……っ ゆーり! 行くな……! ここから先は行っちゃ駄目、なんだ! サテラは、サテラ……は!」

 両手を広げ、行かせまいとするのだが。

「…………」
「ぁ……ぅ……!」

 強い意志をその眼の中に見た。
 サテラはそれ以上何も言えず、広げた手もゆっくりと下がっていく。

「ふっ…… 我らの将がそう言うのでな。行かぬわけにはいかん」

 トーマも同じく。
 魔王の出現により圧倒されていたのは事実だが、それでもこの僅かな時間で立て直すのは流石の一言。

 それに続く様に、リックが 清十郎が前に出た。

「……死地へ、絶対的な死が待っていると言うのに、それでも躊躇いませんか」
「此処から先が死地かどうかは、オレが決める。……アイゼル。お前が決める事ではない」

 アイゼルの言葉に真っ向から返すユーリ。それを訊いて納得でもしたのか、アイゼルはゆっくりと動き、口を再び開いた。

「……可能であるのなら、また、会いたいものです。貴方達に」

 マントを翻すと アイゼルは使途3人を連れて姿を消した。

「サテラサマ。ワレワレモ……」
「わ、わかってるっ!! ……わかって、る」

 もう一度だけ、サテラはユーリを見た。
 強い意思は何者にも変える事が出来ない。それをはっきりと見た。
 
 そして、もう1つ。


「……アンタのとこになんて行かせる訳ないでしょ。絶対に……!!」
「当然、です」

 
 威圧され、完全に委縮していた女性陣。志津香とかなみ。そして、その2人を支えるかの様に 後ろで佇む人非ざる者。

「………」

 フェリスも同じ気持ちだった。

「…………(死ぬな、ユーリ………。サテラは、サテラは……。ユーリの事が……)」

 サテラは イシスとシーザーと共に、道を明け渡した。

 前に道が開けたのを確認すると、ユーリは振り返らずに言った。


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