第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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その気配は悪魔でさえも意図も容易く飲み込んだのだ。
「…………これって、ヤバイわね。かなりのヤツ、ガチ中のガチってヤツだわ。今更 だけど……… とんでもない所に来ちゃったって事か。……あぁぁ もーちょっと生きたかったんだけどなぁ……」
「…………すごい、です。これは はじめてです」
いつも飄々な態度を崩さず、減らず口も無くならないある意味最強のシスター ロゼでさえも 弱音を口に出す。口に出せただけでも大したものだと言えるだろう。
同僚である どんな時でも平静。冷静沈着。感情の殆どを表に出さないクルック―もこの時ばかりは動揺の色が表情に全面的に現れていた。
かつてない程の緊迫感と圧倒的な死の気配に威圧されたとしても不思議では無いだろう。
「け……っ ゆーりの言ってたのが、てきちゅう……したみてぇだな。最悪、だ」
「こんなの、こんな……の……っ」
辛うじて立っていられるのだろう。両の脚は震え 身体中の毛穴から汗が噴き出している。
ミリは剣を杖替わりにして身体を支え、かなみは 側壁に身体を預ける事で何とか保つ事が出来ていた。
「ぐっ、うぅ……っ!! こ、こ、の……!!」
志津香は 自分自身の魔法で外部から干渉しないガードの魔法を唱える。
焼け石に水、大海の一滴だと言う事は判っているが、それでも しないよりはマシだった。
「これが、魔の頂点の気配……か」
「相手にとって不足なし……でしょう? 清十郎、どの」
「く、くくく。ここにきて最大級。この戦で更新し続けているが、最早超える事の無いのと確信出来る程の、な……」
気圧されているものの、それでも一切の弱味を見せないのは一番気配を受けやすい位置にいるメンバー達だ。リックと清十郎。決して圧される事なく、それでいて正面の魔人たちにも決して視線を逸らせたりはしなかった。
「ジル……様」
「あ、あわわ…… ほ、ホーネットぉ……」
「ひっ……」
「うぅぅぅ……」
「こ、これは……… ど、ドント ムーブ……です」
その気配は勿論魔人側にも伝わっていた様だ。
その全員が背後を振り返っていた。邪悪の気配が具現化し、周囲に瘴気として撒き散らしている奥を。
使途達に至っては、完全に膝をついていた。
魔王にとって 魔人も人間も変わらない。等しく同じ存在であると言わんばかりだった。
まだ姿は当然見えない。だが、それでも一度こそは言葉を発したものの アイゼルもサテラも口を閉ざした。サテラに至っては両眼も閉じて懸命に耐えている様子だった。
黙して微動だにしない。
それが 魔人が主を迎えた時の唯一の作法である。だが、それは言葉の中にある様に迎えた時の作法だ。姿形さえ見
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