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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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ことを投げ出したように死んでいく身体が、と。
スライドドアがゆっくりと閉まる。
ペールグリーンに塗装された扉の先に車椅子のシルエットが消えるのを確認した中年でカエル顔の医者はゆっくりと息を吐いた。
いつも通りの検診。いや、傍観とすら言っていい。
様子を見るしかできない今の自分に少々本気で嫌気がさしたように首を振る医者は、診察室の椅子に座り、しばらくぼんやりと天井を見上げていた。
それから、机上にあった電話機に手を伸ばす。
外線のボタンを押してから、シャープを数回叩いた。乱雑なようでいて、一定のリズムがあるその後に、特殊な番号を次々と打ち込んでいく。
受話器に耳を当てると、普通の呼び出し音は聞こえなかった。
ワンコールもなく、即座に相手に繋がったのだ。
「おはよう、小日向相馬君。ノルウェーではさんざんやったようだね?」
『やぁ先生。そうか、そっちにもそろそろその情報が行く頃か』
悪戯好きな子供のような、それでいて大人のような透徹さを併せ持った声。
その音質は驚くほどクリアで、本当に同じ電話回線を使っているのかと疑問を抱くほどだった。電話機に全く別のケーブルが取り付けられていて、宇宙人と交信するのかと思うくらい得体のしれないパラボラアンテナに繋がっていると言われたほうがまだ説得力がある。
しかし、カエル顔の医者は顔色一つ変えない。
「あの子の今回の検査結果を報告させてもらうよ?
肉親
(
ほごしゃ
)
くん」
『嫌味たっぷりだな。まっいいさ、それで手を抜くような単純な人格構造してねぇだろ?先生ってば』
電話口の軽口にはだんまりを決め込み、医者は先刻彼の実弟に言った言葉を反復させる。
「結論から言ってしまえば変わってない。前回から処方薬を増やしたけど、そっちのほうの効果もあがってない。完全に身体のほうが受け付けていない感じだ」
『
死
(
・
)
に
(
・
)
た
(
・
)
が
(
・
)
り
(
・
)
病
(
・
)
だっけ?ナイスな命名だと思うぜ?生命活動にかかわるあらゆる体内活動及び器官がぜーんぶ真反対――――死に向かって加速していく。その根底が一目でわかる。分かりやすいよ』
「君に褒められても嬉しくないよ」
受話器を肩と頬で挟みながら、カエル顔の医者はレントゲン写真を見ていた。そこには虫歯の末期のように、食い荒らされたような惨憺たる骨の有様が写っていた。しかも何が深刻かと言うと、この症状がレントゲン写真には到底収まらない全身全てに均等に訪れているという事実そのものである。
その他にも、診察机に散見される各種検査結果は専門医が見れば目を覆う結果だ。
むしろどうしてああまで平素な生活をさせ続けるのか――――否、続けられているのか、医者の
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