二章 ペンフィールドのホムンクルス
14話 白崎凛(2)
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は無闇な殺傷ではない。
では、その戦術目的、または戦略目的とは何だ?
――この霧は機械翼を封じる能力を有している。分断や拘束自体が亡霊の戦術目的と考えられる。
ならば、私はどうすべきだ?
――亡霊の戦術目的である『霧による拘束』を破るべきだ。亡霊の戦略目的が不明な以上、亡霊の戦術目的を不用意に達成させることは危険だ。
どうやって脱出する?
――機械翼による飛行が困難な以上、徒歩によるエネルギー体の突破、もしくは救出を待つ、の二択しか存在しない。しかし、救出は現実的に考えて望みが薄い。よって、自力での突破を選択するべきだ。
そこで凛は思考をとめた。
凛は小銃を捨て、階段を降り始めた。
一階に降りて、そのまま庭に出る。
周囲には誰もいない。
右手を何もない道路に向け、ESPエネルギーを練り上げる。
風が吹き上げ、凛の黒髪が大きく乱れた。
練り上げたESPエネルギーを、容赦なく放つ。
空間が波打ち、周囲の霧が消し飛ぶ。
少しだけ見通しが良くなった道路を見つめ、それから空を見上げる。
凛の持つ高出力のESPエネルギーでも、星空は未だに隠れて見えない。
ならば、桜井優ならばどうだろうか。
「やはり、彼が選ばれている、と考えるべきか」
凛は呟いて、それから壮絶な笑みを浮かべた。
「神条奈々。その席、必ず明け渡してもらうぞ」
両手を広げて、高出力のESPエネルギーを放つ。
周囲の霧が、消し飛んでいく。
「ESP能力者は、優秀なESP能力者によって統括されるべきだ。ただの人間が私たちの上にいるべきじゃない。そうだろう、桜井優」
彼女は呟きながら、ESPエネルギーを撒き散らして進み始める。
桜井優に次ぐ莫大なESPエネルギーを持て余すように全方位への高出力を繰り返し、周囲の視界を広げていく。
白崎凛は一人、突破を目指して動き始めた。
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