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Raison d'etre
二章 ペンフィールドのホムンクルス
11話 望月麗(3)
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、周りの喧騒は遠ざかっていく。
 優は答えを出す為、口を開き――
 その時、けたたましいアラートが優と麗の両方から響いた。
「あ――」
 麗の呟くような声を無視して、音の発生源である端末を取り出す。
 ディスプレイには、全中隊に対しての出撃準備命令が表示されていた。
「出撃命令だ」
 優の呟きに、麗が呆然とした様子で端末を取り出す。
「全小隊に出撃準備命令、ですか? つまり、予備戦力は残さない? どういう事ですか?」
 脳裏に数時間前に感じたESPエネルギーの異常な膨張がよぎる。
 恐らく、普通の亡霊の出現ではない。何らかの異常事態が発生しているようだった。
 間髪置かずに端末に着信が入る。保安部の中村からだった。
『保安部の中村です。中隊の全てに出撃準備命令が下りました。これから迎えに上がります。大通りに出て下さい』
 優は麗を見た。
 麗が無言で頷く。
 二人は赤く染まった街を一斉に駆け出した。
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