第八幕その四
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「あの山まで案内しましょう」
「いや、本当にね」
トトは尻尾をぱたぱたとさせつつドロシーに応えました。
「早いうちに見付かってよかったね」
「本当にね」
笑顔で応えたドロシーでした。
「よかったわ」
「そうよね」
「それじゃあ鳥さん達に山を紹介して」
「それからだね」
「真ん中の大きな山も調べて」
そしてというのです。
「後はね」
「そう、周りの山々も調べようね」
カエルマンは教授を見ながらトトに応えました。
「是非」
「そうだね、調べて」
「どんな山か知ろう」
「知ったことはちゃんと書き留めておくよ」
教授は学者さんとして言いました。
「絶対にね」
「それじゃあ」
「そう、その用意もしているからね」
教授はその手にペンとノートを出しました。
「既に」
「教授はいつも持ってるよね」
そのペンとノートをとです、トトは教授に返しました。
「そうしてるよね」
「何かあればね」
「書き留める為にだね」
「読む為の本もいつも持っているけれど」
それに加えてというのです。
「ペンとノートもだよ」
「持っていてだね」
「いつも使っているよ」
新たに知ったことを書き留めているというのです。
「本当にね」
「そうしているんだね」
「学者としてね」
「ううん、教授も凄いね」
「いやいや、昔はこうじゃなかったね」
「知ったかぶりしていたとか?」
「そうした者だったよ」
かつての自分自身のことをです、教授は反省しています。そしてその反省を今ここで言うのでした。
「だからもうね」
「そうした風いならない様に」
「気をつけてね」
そうしてとです、トトに言います。
「本当の意味で学者としてね」
「学んでいくんだね」
「そう心掛けているよ」
「そう、知ったかぶりをするとね」
カエルマンもかつての自分自身を思いだして言います。
「やっぱりね」
「よくないんだね」
「そうだよ」
「何かカエルマンさんもそう言うんだ」
「過去の僕がそうだったからね」
「戒めとしてなんだ」
「気をつけているんだよ」
こうトトにお話するのでした。
「僕もね」
「知らないことを認める」
「自分自身のね」
「そうすればだね」
「知ることが出来る様になるんだ」
そうなるというのです。
「知らないのなら知りたいと思うね」
「何でもね」
「だからだよ。知りたいのならね」
「知らないことを知る」
「それからなのだよ」
「成程ね」
「そうすればより多くのことを知ることが出来るのだよ」
カエルマンは気取った仕草で言いますがそこには深い思慮と経験に裏打ちされた智恵がありました。
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