暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第四十話 -色んな事件の色んな後日談-
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レにとっちゃあ「探偵」が天職だった言えるだろ?こんなうれしいことはねえ。オメーの「天職」が料理人だったようにな。…っと、それに事件なんてそれこそスリ、痴漢、空き巣なんてこの日本じゃ毎日星の数ほど起きてる。事件には重いも軽いもねーが、警察の人の地道な捜査で軽く解決できるものも多い。オレが遭遇するのはオレがその場にいなければどうしようもねえ重い事件ばっかだってこった。トリックを暴き、事件が起きてしまった原因を解きほぐしてその後に繋ぐために。今回のバスジャックだってオレが行動を起こさなきゃ爆弾で乗客の全員がお陀仏だったしな」

だからって刑事の人たちを軽んじる気なんてさらさらねーけどな―そう続けた新ちゃんを見て俺は正直びっくりしていた。
昔の新ちゃん…それこそ高校生探偵なんて言われ始めていた高一の頃は、パズルを与えられて解法を導くことに悦を覚える幼稚なことどもの印象がぬぐえなかったのだ。難解なパズルを解き、解き終わればそのままほっぽり投げる―そんな幼稚さが今の言葉からは微塵も感じられない。まあ、ちょっとだけまだ危なさがありそうだけれど。

「……そっか、そっか」
「……おい、龍斗。今のお前の顔。すっげえ年寄りくせえぞ」
「確かに、ワシより歳食ってるジイサンが孫の成長に感慨を受けてる時の顔じゃな」
「誰がジジイか!」「誰が孫だって!」

お互いがお互いに博士への言葉に反応して声を上げた。そうしてどちらともなく顔を見合わせて……同時に笑い出した。こういう休日もいいね。

「そういえば次の休み、月に一回の孤児院のボランティア食事会あるけど来ない?」
「あー、中一からやってるやつか。んー、今回はパスかな。調べなきゃいけねえことあるから」
「ええー…たまにはいいじゃんかよ」
「つってもよ…」
「だって…」
「いや…」
 

――


「……それで?何馬鹿笑いをしているのかしら?」
「げ」
「お、哀ちゃんこんにちは。それに夏さんも。お話は楽しめましたか?」
「ええ、とっても。ねえ、哀ちゃん?」
「ま、まあ。楽しかった……です」

夏さん……明美さんはニコニコした顔で哀ちゃんを見ている。哀ちゃんの顔は赤いな。新ちゃんの話だと落ち込んでそうだったけれどやっぱり夏さんを連れてきて正解だったか。……お、カウンターに腕時計型麻酔銃発見。
何気なく手に取る。物自体の存在は知っていたけど触るのは初めてだ。ここに置いてあるのは博士に麻酔針の充填でも頼んでいたのかな?……へえ、ボタンでかちゃりと。んでここが発射口と。俺がかちゃかちゃしていると新ちゃんに冷やかされてた哀ちゃんがこちらに水を向けてきた。

「……っと。そ、それで?一応はお見舞いなんでしょ?あなたから何か贈り物はないの?」
「へ?ああ、それなら……」

―パスッ!
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