第三十九話 -バトルゲームの罠-
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、いやまあね。あははは…」
「まあまあ。今日はそこまで長居はしないわよ。早く入りましょ?」
「紅葉。うるさいかもだからすぐ耳を塞げるようにね?」
「え?ええ」
俺の言った通り、すぐ耳を抑えられる体勢になった紅葉。そして自動扉が開いた瞬間、漏れていたゲームセンターの音が瀑布のように流れてきた。
「っ!!?」
「え?紅葉ちゃん?」
「どうしたの。それに龍斗君。紅葉ちゃんの耳を抑えたりして?」
「入り口付近は格闘ゲームが多いな…園子ちゃん、UFOキャッチャーかプリクラのコーナー、もしくは休憩場所とかある?」
「えっと、プリクラコーナーなら」
もしかしたら大丈夫かもと思っていたがやっぱりこうなったか。入って紅葉の体が硬直した瞬間に彼女の耳に両手をあてたから一瞬だったとは思うが…紅葉には悪いことをしたな。まさか、自分で耳も抑えられないくらいの衝撃だったか。
紅葉の耳に俺が後ろから手を当てながらプリクラコーナーに移動したがはた目から見たら奇妙だろうな…中にはいちゃついているように見えたのか睨んでくる男連中もいたがまあそこは無視だ無視。
「ここがプリクラコーナーだけど。どういう事なの?」
「そうだよ、龍斗君。いきなり紅葉ちゃんがふらついたと思ったら龍斗君が耳を塞いで…耳?まさか!?」
「お察しの通りだよ。蘭ちゃん」
「え?え?どういう事?」
「ほら、紅葉ちゃんの耳って」
「紅葉ちゃんの耳?ピアスのこと?」
「違うわよ、園子!ほら、ものすごく耳がいいじゃない!」
「あー、そういえば競技かるたをしてるからかすっごくいいのよね?…まさか」
「ま、そういうこと。紅葉は耳がいい。それに俺も五感が常人離れしてるからね。ゲームセンターの音と匂いはどうしても…ね」
「ご、ごめん。そんなことになるんだったら私誘わなかったのに!」
プリクラコーナーに移動したのは他と比べればまだ騒音や臭いがきつくないから。ゲーセンに連れてきたのは…
「そないなことないよ、園子ちゃん…」
「紅葉ちゃん…っ!」
「ウチ、こういうのすっごい楽しいんやで?放課後にお友達と遊んだりお喋りしたり。だから「誘わなければ良かった」なんて言わんといて…」
「紅葉ちゃん…」
そう。紅葉の話によれば彼女は前の学校ではあまり深い関係の友達はいなかったそうなのだ。それとなく遠巻きに見られていた、と。だから俺は何も言わなかった。
「さ。この事を予見していた俺が何も準備していなかったと思う?と、言っても応急にしかならないし、ちょっと紅葉には我慢してもらうことになるけど」
そう言って俺は彼女の耳から手を離し、さっき買っておいたミネラルウォーターを布片にしみこませて彼女の耳に入れた。
「どう?紅葉。紅葉の聴覚ならこれくらいでちょうどいいはずだけ
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