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名探偵と料理人
第三十話 -世紀末の魔術師(3/6)-
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れて皆が囲む机の方に戻ると、皆雑談をしていたがどこか気もそぞろの様子だった。テーブルには各人の前にカヌレ、そして中央にはクッキーが並べられていた。

「はい、お待たせ」
「ホントに待ったよー!こんなに美味しそうな匂いをさせているものを前にしてお預けなんだもの!」
「分かった、分かった。ごめんて」

だからその滴りそうな涎をおさめなさいな園子ちゃん。はしたないぞ。

「ええ。とてもいい香り。私もフランスにいた頃は幾度となくカヌレは頂いたけれど、匂いだけでそれらより美味しいことがわかるわ!」
「そうね、早くいただきたいわ」
「それじゃあ、皆に紅茶を入れてっと。砂糖、シロップは各人が調整して入れてね。じゃあ召し上がれ」
「ありがと。うーん、久しぶりに食べるなあ龍斗君のお菓子!最近は道場に差し入れしてくれないし…うん!やっぱり美味しい!」
「ああ、美味え。やっぱ流石だな龍斗…にいちゃんは!」
「「…………」」
「どないしました?夏美さん、青蘭さん。龍斗のカヌレ、お口に合いませんでした?」
「いえ、紅葉さん。とても、とても美味しいんですけど…」
「なんというか美味しすぎて…」
「ありがとうございます。…そういえば紅葉とは自己紹介は済ませていたみたいですが自分はまだでしたね。では遅らばせながら……緋勇龍斗といいます。特技は料理全般。蘭ちゃんと園子ちゃんとは幼馴染で紅葉とはお付き合いさせていただいている関係です。よろしくお願いしますね、浦思さん夏美さん」
「緋勇龍斗って前回の世界王者!?それなら納得だわ…」
「……やっぱり!ねぇ、私の事覚えてる?4年前の世界大会振りよね!?」
「ええ、勿論。会場の案内や決勝で当たりましたもの。…髪、伸ばしたんですね」
「そう言えばあの頃はショートだったわね。……それにしても身長も私より小さかったのに4年で私が見上げないといけなくなるなんて。お菓子もあの時より確実に美味しくなってるなんてね」
「ちょ、ちょっと待って。え?何、龍斗君夏美さんと知り合いなの?」
「…ウチ、聞いたことありませんよ?」
(うわ、紅葉さん怖っ!)
「さっきも言ったけど、4年前の世界大会の時にね。道に迷ったのを助けてもらって、それで決勝の相手が夏美さんの勤める洋菓子店のチーフパティシエで彼女はその時助手として参加していてね。同じ日本人だし仲良くなったんだよ」
「そんな経緯があったのね……それにしてもすっごい偶然ね。こんなところで再会するなんて」
「ま、ね……金庫での話だと帰国しているみたいですけど夏美さんはまだあのお店に?」
「いいえ。実は独立のお許しを頂いてね。祖母が亡くなっての帰国だったのだけど、このまま日本で洋菓子店を開くかレストランに勤めようかと思っているの」
「そう言えば、夏美さんはずっとパリに住んでた
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