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Raison d'etre
一章 救世主
7話 黒木舞(2)
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に歩いていく。優は足首を何度かマッサージした後、ゆっくりと立ちあがった。まだ息があがっていたが、いつまでも休んでいられない。第一訓練場の本部側に向かい、第一小隊が集まっている場所を探した。数か所に分かれて人が集まっていたが、どれが第一小隊の輪なのかよくわからなかった。
「桜井、こっちこっち」
 京子の声。優はすぐに京子の姿を見つけ、傍に駆け寄った。
「あ、桜井くんも来たね。各分隊で欠員いない? 大丈夫?」
 中心に立っていた華が周囲を見渡しながら声をあげる。数人の少女が、大丈夫、と言葉を返した。
「よし、じゃあ解散!」
 華が宣言した途端に周囲が騒がしくなる。シャワーを浴びに本部へ戻ろうとした時、京子に呼び止められた。
「桜井、最後までペース落ちなかったね。何かスポーツやってたの?」
「軟式テニスを少しだけ」
 ふくらはぎを片手で揉みながら答えると、京子は小さく笑みを零した。
「ロブ打たれたら終わりじゃないの?」
「……似たようなこと、黒木さんにも言われたよ」
 多少不機嫌そうに答えると京子は、やっぱりね、と言った。
「体重どれくらい?」
「四十」
「うわ、反則じゃない、それ?」
 京子が呻く。優はクスりと笑った。
「今日みたいなランニングって今までやった記憶ないんだけど、毎週あるの?」
「週一かな。今は地上戦とか殆どやらないから、最低限しかやってないよ。射撃訓練と飛行訓練の方が大事だしね」
 基礎体力訓練を軽視しているというよりも、実戦重視という印象が強い。優は頷いて、足首を軽く回した。疲労が溜まって奇妙な脱力感が抜けない。
「京子、私先に帰ってる」
 横から宮城愛の声。振り返ると、相変わらず無表情な愛と目があった。
「あいあい。お疲れ様」
 京子が言う。優も、お疲れ様、と短く言葉を返した。愛は一度だけ小さく頷いて、本部に戻っていった。それを見送ってから、京子が大きく背伸びした。
「私もそろそろ戻ろっかな。シャワー浴びたいし」
 そう言ってから、京子が訓練服の首元ををパタパタと煽ぐ。
「だね。僕も戻るよ」
 優も賛同し、背中に担いだ機械翼を外す為に大きく身体を捻った。それを見ていた京子が口を開く。
「外してあげよっか?」
「うーん、じゃあお願い」
 一瞬だけ迷った後、優は素直に京子に背中を向けた。
「オッケー。じっとしててね」
 カチャカチャと金具を外す音が背中から響く。優の何倍も手際が良かった。あっという間に背中部分の固定装置が外れる。
「ちょっと手、回すよ」
 京子の手が後ろから腹部に伸びてくる。後ろから抱きつかれているような格好になり、優は僅かに気まずい思いをした。
「はい、終わり」
 小気味良い金属音ととも
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