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真田十勇士
巻ノ百二十五 真田丸その一
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                巻ノ百二十五  真田丸
 幸村は大坂城の南東に赴いた、そこに着くとすぐに縄張りをはじめそのうえで家臣達にこう命じた。
「拙者の縄張りの通りにじゃ」
「築く」
「そうするのですな」
「うむ、堀をもうけ壁も高く鉄砲を適当な間で撃てる様にしてじゃ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「堅固な出城ですな」
「そうしていきますな」
「南東としかと守る」
「その様なものに」
「そのつもりじゃ、この出城の名前はな」
 幸村は既にそこまで考えていた。
「真田丸としたい」
「真田丸ですか」
「そう名付けられますか」
「殿のお名前を付けた」
「我等が入り守るからな」
 それ故にとだ、幸村は家臣達にさらに話した。
「だからじゃ」
「真田丸とし」
「我等が守る」
「どれだけの敵が来ようとも」
「そうされるおつもりですか」
「うむ」
 その通りだとだ、幸村は答えた。
「その様にする、ではよいな」
「わかり申した、ではです」
「この出城を築きそしてです」
「真田丸と名付けましょう」
「そしてそのうえで守り抜きましょう」
「何があろうとも」
「大坂城は確かに滅多なことでは陥ちぬ」
 天下の名城、城のことを知り抜いた秀吉が全知全能を注いで築き上げた城だけにというのだ。
「しかし人の築いたものじゃ」
「だから弱みがある」
「それで、ですか」
「真田丸を築かれ」
「防ぎますか」
「太閤様は言われた」
 ここでこうも言った幸村だった。
「大坂城の攻め方は二つあるとな」
「その二つとは」
「どういった攻め方でしょうか」
「それは城を守る兵達を飲み込むだけの大軍で攻めることじゃ」
 まずはこれだというのだ。
「一万おれは十万以上、それだけの大軍で一気に攻めればな」
「その南東を中心にですか」
「そうして攻めればですか」
「大坂城も攻め落とせる」
「そうなのですか」
「うむ、だから真田丸を築いた」
 幕府は実際に大軍で来る、その時の守りを考えてというのだ。
「これでおおよそ大丈夫じゃ」
「大坂城は堀は深く城壁も石垣も高いです」
「しかも櫓や門、狭間が見事に配されています」
「そこに真田丸も加わればですな」
「鬼に金棒ですな」
「後はまずあるまいが」
 二つ目についてはだ、幸村はこう前置きして話した。
「その堀や石垣、壁をじゃ」
「その全てをですか」
「埋めて壊す」
「そうすればですか」
「そうなってしまえばどの様な城もじゃ」
 それこそというのだ。
「何なく攻め落とせるな」
「はい、まさに」
「その様な城何でもありませぬ」
「それは全くの裸城ですな」
「その様な城は」
「最早何でもない、しかし堀や壁、石垣を捨てるなぞじ
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