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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
第五話 INグレンダン(その3)
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 明くる日、ニーナはクララに連れられ王城へ来ていた。案内するにも仕事を少し片付けてからでないと駄目だというからだ。
「クラリーベル様、おはようございます」
 廊下を歩むうちに横手から声がかけられる。無論城に入る前から幾人もの相手から声を掛けられているが基本一声だけ返して進んでいたクララが立ち止まったことにニーナも興味を覚える。
「おはようございます、エルスマウさん」
 そこにいたのは豪奢な金髪の女性。歳は四十ほどかと見えるがその美しさに陰りはない。
「ニーナ、エルスマウ・キュアンティス・フォーアさん。念威繰者の天剣授受者です、昨日の人ですよ」
「はじめまして、ニーナ・アントークです。昨日はありがとうございます」
 ロンスマイア家の前でどうするか迷っていた時に助け舟を出してくれた人と知りお礼を言う。それに対する答えは一部予想外の所があった。
「いえ、あれが私の仕事ですので。ただ一応は初対面ではありません」
 その言葉に首を傾げるニーナ、記憶を探っても以前顔をあわせた覚えがどうしても見つからないからだ。
「判らないのも仕方ありません。以前サリンバン教導傭兵団に所属していた時はフェルマウスと名乗っていましたから」
 その名前にニーナの脳裏にあまりよくない思い出が浮かび上がる。違法酒に端を発した廃貴族騒ぎから武芸大会、さらにはその後の汚染獣の大規模襲来時まで、散々ツェルニを引っ掻き回してくれたからだ。
 そのあげくツェルニとグレンダンが接触した時に何も言わずにいなくなった事を考えれば、武芸大会直前に短期の教導をしていた事を踏まえても好意を抱けるものではなかった。
 特にニーナは団長であるハイアが個人的に執着していたレイフォンを麾下の小隊員としていた事、教導傭兵団の目的である廃貴族を宿していたことで常に中心にあったといっていい。
 とはいえニーナ自身いつまでも根に持つタイプではなく、今悪感情をもって接するわけでは無い為、もし謝られたりしてもニーナとしても困るというのが本音だ。
「クラリーベル様の所に滞在されるようですが、何かあれば言っていただければ私にできる範囲で手を貸しましょう」
 エルスマウも教導傭兵団がニーナにした事を謝ることは無い。団長でもないエルスマウにそんな資格は無く、あったとしてもそんな傲慢で在れるほど恥知らずではない。
「ありがとうございます。必要な事がありましたらお願いします」
 つまるところ互いに遺恨など存在しないので普通に挨拶を交わすに留まる。
 そのままエルスマウと別れ王宮内を進んでいると新たな声が掛けられる。
「やっほークララ、ちょっといいかな」
 耳にした瞬間クララがピクっと反応し、いささか嫌そうな表情を浮かべる。が無視せず声の元、外に広がる庭園へと歩を進める。
 そこにいたのは長椅子に寝そべった
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