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恐怖を味わった高校生
恐怖を味わった高校生
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なった、目と鼻を、無数のウジ虫が出入りしている。吉田さんは、よだれを垂らしながら、耳まで裂けた口を大きく開けた。黒い歯茎と歯を見せて、ケケケケ……と笑って、嬉々として食べている。ビー玉のように変に緑色に光輝く眼で、彼を見つめながら……。
 やっと、吉田さんは二匹のドブネズミを食べ終わったようだ。
「ママ、いつもの美味しいデザート、お願いね!」
 すると、老女は小さなハンマーと、何かが入ったガラス瓶を運んできた。中で何かがゴソゴソうごめいている。それらは、昆虫やクモ、ワラジムシ……などの陸にいる節足動物を食べている生きの良いヤモリ達だ。吉田さんは、テーブルに載せられた薄茶色のガラス瓶を、大きなハンマーで何度も何度も何度も叩く。当然、中にいる、数十匹のヤモリ達も、原形を留めない程に千切れて、周囲に体液が飛び散った。歯も唇の周りも真っ黒にした吉田さんは、貴重な物をすくうように両手で掻き集めて、せっせと口に運んでいるのだ。
 吉田さんの両手には、無数の細かなガラスが突き刺さっている。だのに、全く意に介していないようだ。バリバリバリバリとガラスが砕ける音と、ヤモリを骨ごとかみ砕く音が聞こえる。
 またしても、勉の胃から嘔吐が喉までこみ上げてきた。
 既に、我慢の限界を超えていた勉は、強い力で抱き付き阻止しょうとするママを、何とか振り払い、ドアに向かって必死で走り出した。
 やっと、取手を手前に引こうとした時だった。
 四、五人の男達が入って来て、表情一つ変えずに彼を突き飛ばした。彼等は、老婆に向かって全員揃って最敬礼をし、異口同音に同じ品を弱々しく注文したのだ。
「ママ、美味しい、いつもの品をお願い致します。……湯気が出ているのを頼みますよ!」
 尻もちをついた時、勉は何気なく天井を見た。そこには、頭部、胸部と尾部を大きく反らしている幼虫が、ウジャウジャいる。シャチホコのようなポーズをとっている、シャヤチホコガの幼虫だろう。それらが、数百匹も群れてモゾモゾと天井を這っている。彼は、ズボンの汚れを払いながら、ヨロヨロと立ち上がった。
 そんな彼を見て、男達はヘラヘラと弱々しく笑いながら、全員が力なく拍手をした。男達は、第二次世界大戦時の帝国陸軍にいた軍人達のようだ。
 彼等が被っている兜≪かぶと≫は、銃弾が貫通し、砲弾のかけらがあたった跡で穴だらけでデコボコだ。着ている軍服も所々穴が開き、泥に汚れてボロボロになっている。見えている裸足には、泥がベットリと付着している。細菌やウイルスに感染しているのだろうか? 特に痩せ細った一人は、穴だらけのズボンから、水っぽい下痢を床に垂れ流して、苦しげな顔で前屈みに歩いている。
 ヨロヨロと歩く軍人の頬がこけて泥だらけの顔には、狂気に支配された虚ろな眼があった。
 彼は、とても気味が悪くて、真っ青になった自
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