入学編
入学
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の横に控えていた男子生徒が呼び止める。
「しかし会長。それでは予定が……」
「予めお約束していたわけではありませんから、他に予定があるならそちらを優先するのが当たり前でしょう」
なおも食い下がる気配のない男子生徒に咎めるような視線を向けてから、真由美は達也たちの方に向き直した。
「深雪さん、今日はこれで。司波くんと深紅さんもいずれまた、ゆっくりと」
そう告げると、真由美は今度こそ講堂を後にした。
それに続く男子生徒は一度だけ振り返り、舌打ちをしそうな表情で達也のことを睨みつけてから、真由美の後を追って出て行った。
「お兄様、申し訳ありません。またわたしの所為でお兄様の心証を……」
「お前が謝ることではないよ」
「はい……ありがとうございます、お兄様。……それにしても、深紅はもしかして、火神燈火さんではありませんか?」
深雪のいきなりの質問に、深紅が驚きの表情を浮かべた。
「うん、そうだよ。よくわかったわね、深雪」
「ふふ、お兄様からよくお話を聞いていましたから、もしかしてと思って」
深雪のその言葉にさらに驚き、深紅が達也の方を見る。すると達也は微妙に深紅から視線を外した。
「えっ?火神燈火って、ナニ?」
「わたしのもう一つの名前みたいなものなの。あまり気にしなくていいわよ、エリカ」
深紅が軍に特尉として籍を置いていることは秘密である。
あまり突っ込んだことを訊かれないように、深紅は関心をそらせるように言った。
「ふーん。あっ、そうだ。これからみんなでカフェにでも行かない?この辺にいいお店があるんだけど」
「いいですね!」
エリカのこの提案に、美月がすぐさま賛同した。
「わたしも行こうかな。この後予定はないし」
「お兄様、どうしますか?」
「いいんじゃないかな?同性同世代の友達はいくらいても多すぎるということはないからね」
達也の言ったことに、エリカが呆れを含んだ口調で言う。
「司波くんって、深雪のことになると自分のことは計算外なのね……」
??????
「ねぇねぇ。深雪はさ、好きな人とかいないの?」
高校の近くにあるカフェの一角。そこで五人は会話を弾ませていた。とは言っても話しているのはもっぱら女子四人で、達也は聞き役に徹している。
そして、この年頃の女子が集まれば、話がそっち系に飛ぶのは当たり前のことだった。
「好きな人、ですか?ふふっ、話すのはなんだか恥ずかしいですけど、いますよ?」
深雪がほおを微かに染めて言う。
「えっ、ホント?誰々?!」
「深雪さん、お付き合いしてる方がいるんですか?」
「気になるなぁ。誰?」
「一条将輝さんとお付き合いしています」
深雪のこの言葉に、三人の少女はキャアっと色めき立った。
「すごいね。一条の御曹司と付き合ってるなんて」
「しかもイケメ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ