第二十四話 -競技場無差別脅迫事件-
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―――ワァァァァ!
「ねえねえ、今決めたの誰、誰?」
「えっとですね……スピリッツのヒデですよ!」
「流石はヒデだぜ!」
子供たちは先制シュートを決めたシーンについてあれこれと盛り上がっていた。
「すごい熱気やねぇ。サッカー観戦なんて初めてやけどいっつもこんなんなん?」
「俺も新ちゃんに連れられて何度か来た位だから何とも言えないけど。まあ今日は天皇杯の決勝だからね。盛り上がりはいつもの試合よりはすごいはずだよ……お?今度はBIG大阪の選手がボールを持って上がってきてるね。この感じは11番の選手かな?…センタリングを上げて8番がゴール前でヘッドで合わせようとしてるけどあー、キーパーに阻まれたね」
「……ねえ。あなた、本当に目が見えていないの?今日私たちを連れて電車に乗った時も思っていたけど」
今日の俺は両目に黒い包帯を巻いて、サングラスに帽子を被っていた。久しぶりに「太陽の実」という食材を調理したんだが、手順を間違えて至近距離で発光した実を見てしまい目を焼いてしまった。一応再生している最中なんだがその間に光を見るとうまく再生できないので光を完全に遮断できる包帯を巻いているというわけだ。なので観戦には耳の感覚を広げている。
俺が子供たちを連れて、BIG大阪VS東京スピリッツの天皇杯決勝戦を見に来ている経緯はこうだ。元々の予定だと子供たちだけで来る予定だったらしいのだが流石に国立競技場に小学一年生だけで行かせるのはいかがなものか(中身10代が二人いるとは言え傍目は小1五人組)ということになり、博士を頼ることにした……いや、他の保護者もたまには動けよ…が、博士は博士で用事があるらしくダメ。そこで巡り巡って俺に打診が来たというわけだ。俺もそして電話を受けた時に近くにいた紅葉も夜からは予定があったが試合の時間帯は空いていたのでデートも兼ねて了承したというわけだ。チケットは向こう持ちで用意してくれた。
「眼?全然見えてないよ。新ちゃんに試合前に選手がどんな配置になっているか聞いていたろ?その時に呼吸の癖や心音のリズムを覚えて後は試合の中それを聞き分けてピッチでどんな動きをしているかを頭の中で想像してるってわけさ。だから選手の顔は分からないよ」
「……息遣いがこんな歓声の中から、しかもこんな離れた所から聞こえるわけないでしょう?ましてや心音なんて直接胸に耳を押し付けでもしないと無理。あなた、私をバカにしているの?」
「さて……ね。まあ哀ちゃんのことをバカにしてなんかいないさ」
「……」
ありゃ、無視されちゃった。まあ科学者の彼女にこんな非科学的なことを言えばこうなるか。この事を知ってる人が割と受け入れてくれたから麻痺してたけど、普通こんなこと言われたらこうなるわなー。
「おい、灰原!オメーも前に来て試合見ろよ!折角来
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