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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン87 鉄砲水と紫毒の記憶
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変える石。そこに秘められた力は、生命すら生み出すという。錬金術は俺も基礎知識程度しかないが、大徳寺先生の授業内容は全て頭に入っている。力を引き出す程度のことはできるはずだ』
「な、なるほど……?」

 賢者の石、どんな形をしてるんだろう。色は?サイズは?そもそも石というけれど、要するに宝石みたいなものをイメージしておけばいいんだろうか。わからないことだらけだけど、見切り発車は今に始まったことではない。
 覚悟を決めた僕をよそに、ふとほこりまみれの廊下に動く影が見えた。あの茶色いシルエット、見間違えようがない。

「ファラオ!ちょっとこっちおいで!」

 最近食事時だけフラッと帰ってきて普段どこにいるのかと思ったら、ここで暮らしてたのかあの猫。僕の声に反応してピクリと耳が動き、ゴロゴロと喉を鳴らしながら近寄ってきたファラオの頭を撫でてやる。気持ちいいのか大きな口を開けてあくびしたその喉の奥から、優しい光を放つ球体がふわりと飛び出た。最近久しぶりに会う、アムナエルこと大徳寺先生だ。

「早速ですけど今の話聞いてましたか、大徳寺先生?」
『もちろんだニャ。それにしてもさすがは三沢君、賢者の石とはいいところに目を付けるニャ。私がかつて作成した賢者の石は私の病ひとつ治せなかった不完全な代物に過ぎないけれど、それでもホムンクルス作成用に数だけはそれなりに残してあるニャ。次元を超える理論は私にはわからないけれど、全てかき集めればかなりのエネルギー量にはなるはずだニャ』
「それじゃあ……!」
『付いて来るニャ。どうせあれはもう、アムナエルには不要なものだ』

 最後の一瞬で語尾が消えたのは、大徳寺先生としてではなく錬金術師アムナエルとしての言葉だったのだろう。再び引っ込んでいく魂を再び呑み込むと、それを待っていたかのようにファラオが歩き出す。この方向は間違いない、かつてのアムナエルの研究室だ。

「こっちはなんとかめどが付いたかな。じゃあ三沢、終わったらそっちに届けるから。いったん切るよ!」
『ああ、頼んだ。だが油断するなよ、どうもダークネスの侵攻スピードがおかしい。ダークネスだけではなく、そこに協力する第三者が存在する可能性もある。あまり時間はないと思った方がいい』

 不吉な言葉を最後に、通話が切られる。ダークネスの協力者なんて、そんな人生に絶望した人がどこかにいるのだろうか……なんて、間違ってもダークシグナーに言われたくはないだろう。ともかく、今はファラオだ。研究室までの道はまだ覚えていたが、賢者の石の在り処は大徳寺先生にしかわからない。黙ってその後に稲石さんと共についていくかと思ったが、数歩進んだところで振り返った。てっきり稲石さんも付いて来るかと思ったのに、なぜかその場に立ち止まっている。

「あれ、稲石さん?」
「…
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