ターン87 鉄砲水と紫毒の記憶
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大まかなところはそんな認識で構わない。そもそも博士の理論によれば時間と空間は紙一重の物であり、両者の差はない。それは人間もデュエルモンスターズも関係なく最も原初的な本能の奥底に刻み込まれている情報であり、時計も次元の数も12となっているのは偶然ではなくその本能が無意識にそうあることを求めていたからだ。もっとも、学界ではとても認められなかったらしいがな』
「だろうね」
デュエルモンスターズの精霊に独自の世界があることだって、この目で直に精霊を見なければ僕も到底信じられないことだったろう。学会とか論文とかはさっぱりだけど、そこに他の次元の話なんてぶっ飛んだ理論を持ち込んだらどんな目で見られるのかぐらいは僕だって想像がつく。
即座に同意した僕にかすかに悲しげに小さく頷き、いよいよ三沢の話も一番重要なところに入り始めた。
『そして、ここからがこの作戦の一番重要なところだ。これまでにも俺たちは何回か、ある程度のエネルギーと空間の不安定さという2つの条件が揃った時に別の次元へと人間、それどころかアカデミアの建物のような巨大な質量をも飛ばすことができるという実例を見てきただろう?この四次元理論に従えば、俺たちに認識できないだけで三次元間の移動と残る4つ目、時間の移動にはそう大差がない。ゆえに次元を飛ばすほどのエネルギーを準備し、ほんの少し別ベクトルに傾ければ対象をはるか未来や過去へ飛ばすことも可能となるはずだ。ここまで言えば、わかるな?』
「まさか……それでダークネスを?」
『そうだ。ダークネスは俺たちのいるこの世界と表裏一体の存在、一時的に追い払うことはできるかもしれないが決して消し去ることは不可能だ。だが可能な限り遠くの未来へと送ることができれば、その時が訪れるまでにまた準備ができる。倒すことができないが、先送りにすることはできる』
「おおー」
『もっとも、あのデスベルトだったか?さすがにあれに匹敵するほどのエネルギーをこの短期間で生み出すのは難しく、アカデミアの電力を集中させる程度ではとてもじゃないがパワーが足りない。そこで俺が目を付けた最後の可能性が清明、今お前のいる廃寮にあるはずの錬金術の力なんだ。それでも範囲を絞ることで必要となるエネルギーを最小限に抑えるため、ダークネスの出現位置の特定にもこんなギリギリまで時間をかけた。理論は既に完成している、後はエネルギーの問題だけだ』
「……なるほどね」
ただの使いっぱしりだと思ってたけど、これはなかなかどうして重要な仕事だ。今更か。とはいえどうにか笑顔で返したものの、そんな僕の顔はひきつっていなかっただろうか。いくらなんでも僕だけプレッシャー重すぎませんかね、三沢っちさんや。
「それで、具体的には何を探せば?」
『賢者の石、だな。錬金術の最高成果とも言われる、不可能を可能に
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