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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン87 鉄砲水と紫毒の記憶
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 含みのある言葉に目を凝らしてよく見ると、三沢の方には画面越しでさえはっきりと疲労の色が見える。ついさっき僕の店で連絡をもらった時には、いくらなんでもここまでの消耗はしていなかったはずだ。

「……何かあったの?」
『少しばかり野暮用がな。だが今は俺のことはどうでもいい、そこに行ってもらった理由を説明するぞ』

 適当に言葉を濁しつつ、真剣な顔になる三沢。ここからがいよいよ本題だと、稲石さんが画面を背後から覗き込む気配がした。

『まず結論から言おう。今回の目当ては、その廃寮の地下……セブンスターズのアムナエルがかつて遺した、錬金術の遺産だ』

 アムナエル。セブンスターズ最後の1人にして、元オシリスレッド寮長の大徳寺先生。現在ではファラオの体内に魂を取り込まれて魂だけでも元気で……?やっているけれど、精霊の見えない三沢はそれを知る由もない。マクロコスモスとか原始太陽ヘリオスとか、今となってはすっかり懐かしい話だ。
 いや、そうじゃなくて。昔の記憶に浸ることなんて、後でいくらでもできる。その後、とやらがこの先の未来にあればの話だけど。そのために戦うんだ。

「アムナエルの錬金術……なんで?」
『一言で乱暴に説明するならば、それがエネルギー源として必要だからだ。そもそも、今回の事件で俺の立てた作戦はツバインシュタイン博士が昔発表した多次元理論が基になっていてな。なあ清明、四次元世界についての話をお前は聞いたことがあるか?』
「……チャクチャルさん、説明!」
『はいはい。んー、マスターでもわかるようにか……かなり面倒な仕事だが、まあやってみよう』

 なんだかすごく失礼な前置きだった気もするが、ここで言い返すと本格的に話が進まない。ぐっと堪えて下唇を噛み、黙って頭の中に響く声に意識を傾ける。

『我々の今存在する世界の物質には、全て幅、奥行き、そして高さの3つの要素がある。これはわかるな?だからこの世界は三次元、そう言いかえることができる。紙に描いた絵には長さと幅があっても奥行きが存在しない、二次元という言葉にはそういう意味があるわけだ』
「ふんふん。幅、奥行き、高さ……ん?じゃあ4つ目って何?あと何があるの?」
『時間だ。三次元世界の概念からすればありえない話だが、我々が物の高さや幅、奥行きを決められるように四次元世界では時間を4つ目の枠として自由に操作できる、まあそんなところだ』
「なるほどなるほど」

 そして画面越しに、今聞いた話をそっくりそのまま繰り返す。よく知ってたな、というあからさまに訝しげな視線とチャクチャルさんからのじっとりとした何か言いたげな気配の両方に対しきっぱり気づかないふりをしていると、三沢もあまり時間がないことを思い出して話題を次に移した。

『だいぶざっくりした説明だが、確かに
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