憤怒のソリダス
[31/34]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
エド・フェニックスしながらジャンプして、私達は次々と屋根を渡っていく。自分でも意外とノってるようだけど、とにかくこのままいけば外に出られると思った矢先に、地上本部の放送が聞こえてきた。
『レジアス・ゲイズ中将より全局員へ通達。歌姫が敷地内を南に向かって逃走中。進路を封鎖し、歌姫を捕獲せよ!』
『シャロン! これは……!』
「あのオジサン、中将なだけあって対応が早いね。でも今は局員もこっちに意識を割く余裕は無いよ。だって……」
屋根の下を見ると、街中から迫りくる凄まじい数のアンデッドをバリケード越しに押し返そうとする大勢の局員の姿が見受けられた。雨具を着てこの暗黒物質の雨を凌いでこそいるが、そもそもあの状況ではいずれ物量差でバリケードは崩壊する。クラナガン中のアンデッドが一斉に集まってる以上、時間稼ぎにしかならないが、一人欠けるだけで致命的になる。今の彼らは、私にかかずらってる場合ではないのだ。
「……。ネレイダス・サイクロン!」
そのまま放置しておけば、局員はこっちを対処できない。この世界の人達が全員アンデッドになろうと知ったことではない。だけど……それなのに私は手を貸した。彼らを押し込もうとしていたアンデッドの大群およそ120体を、屋根の上から水の竜巻で吹き飛ばして倒した。さっきまで劣勢だった局員達がこっちを見てポカンとしてる間に、私はアンデッドの大群がいた向こう側の道路に着地して一気に滑り降りていく。……アレだ、せっかく敵がまとまってたんだからMAP兵器を使ってもいいじゃん、とでも思っておこう。
『見捨てると言いながら、甘さは捨てきれていない……。あんなことがあれば冷酷にもなれそうなのに、そうなってないということは……』
「ひゃー!」
『やはり……フーカがいるからでしょうね。この子の母親から死に際に託されただけの子供ですが、シャロンの心を守るのにこの子の存在は必要不可欠なのかもしれません』
なんかイクスがブツブツ言ってるけど、私は私でネレイダス・サイクロンの感覚というか、水の操り方に多少コツを掴んできていた。これなら攻撃以外の応用ができるかもしれない。まあそれは後で色々試すとして、道路のコンクリートと看板の鉄がこすれて火花が飛び散る中、私は地上本部から脱出できたことに内心ガッツポーズした。
ガーッと滑りながら周囲の様子を見た所、どうやらニーズホッグや敵の端末兵器は撤退したらしい。となるとさっきのアンデッドはこの暗黒物質の雨で蘇った死者だろう。それらが片付いた以上、戦闘は終わったと見ていいはずだ。ならケイオスの戦闘も同様にひと段落してるはず。北部はもうシールドが解除されているけど、そもそも今あそこに行っても私を捕まえた局員とまた遭遇しかねない。だからどこか見つからない場所に身を潜めるのが一番だろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ