第14話 女の闘い
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おける基盤にしようと考えていたのに、泥棒猫の目が次第に冷めてきてるのが嫌でも判った。
(こんなに殺意も込めてるのに何で!?)
感情の高まりが気を強くするのは決して間違いでは無い。
それがどの方向性であろうと、感情の昂ぶりを上乗せする事で気を強化できるのだ――――が、少なくとも本気の策を用いない状態の燕と百代とでは埋めようのない力量の差が開いてしまっていた。
それを冷静に受け止めることが出来ているのは寧ろ百代の方である。
(こんなものか)
百代の表情こそ笑顔だが、反面、心の方では冷え切っていた。連動する形で瞳も冷めてきている。
決して燕は弱い訳では無い。少なくとも、外部からの義経への挑戦者達と比べても誰よりも強い。それは間違いない。壁越え、マスタークラスでもあるだろう。
しかし尾ひれが付こうが、中々の武勇の噂を持つ武士娘が来れば期待値も当然うなぎ上りとなってしまう。
だが蓋を開ければこれである。正直失望――――とまでは行かないが落胆している百代。勝手ながらぬか喜びさせられた気分の様だ。
(あくまで稽古と言う形だから本気は出してないだろうけど――――現段階では数段劣る士郎みたいなもんだな――――そうか、士郎なんだ)
そこで百代は気付いた。
士郎と出会った事で、士郎と組手稽古をする様になった事で、裏の世界を知り今のままでは駄目だと危機感を持ったことで、今と比べて以前よりも確実に強くなっていると。
だが逆に言えば、士郎と出会わず強さに触れていなければ、そんなifの流れならば、目の前の美少女とのこの稽古も最高にスリリングだったかもしれないと。
そんな考えに浸っていた時に気付く。
(もう時間か)
そうして戦意を治めると、燕は困惑する。
「ど、どうしたの!?」
「いや、もう時間だから、この辺で良いんじゃないか?」
百代の指摘に燕だけでは無く、クラスメイトも担任のゲイツも、さらにはルーまでもが振り返って時計を見上げた。
確かに百代の言う通りだが、それを誰よりもいち早く気づいた事に一同驚いていた。特にルーだ。
百代の戦闘狂ぶりはまだまだ抜けていないが、目の前の強敵相手に夢中になりすぎず、冷静な判断力を持てるようになった成長ぶりにも感心していた。
当人は息切れを起こしている燕に近づいてから手を差し出す。
(挑戦者達に比べれば強かったし楽しかったから、それなりに)
「――――楽しかったぞ」
いざとなれば士郎がいるので欲求不満に陥る事も無いと、心中で付け足して。
言った一言が全てが本音では無いと直感的に嗅ぎ取れている燕は、
(泥棒猫の分際で社交辞令なんて・・・!この女狐が)
「――――もうパワフル過ぎ!こっちはクタク
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