呪われた玉手箱
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、真実をゆがめた。二百十名中百九十九名が死亡するという大惨事であったから、『軍隊が行進する音』、『青い発光体』、『兵士の幽霊』……などが現れる。遭難死した兵士達の幽霊が出るのは、紛れもない事実だ。だから、面白半分で訪れてはならない。聖なる心霊スポットなのだから!)
そんな身の毛もよだつ経験は、二度でコリゴリしていた。つまり、うかつにも、もう一度同じ恐怖感を抱いた。だから、天気予報で雪が積もりそうな前日には、車の後輪にチエーンを巻き、当日早めに起床し、愛車を店に近い駐車場に預ける。いつも二台分の駐車スペースを借り、真ん中にベンツをデーンと偉そうに止めて置くのは、修理費が国産車の約三倍もかかるからだ。横に駐車した車にドアーを一度凹まされ、板金と塗装に莫大な(?)金額を支払ったからだ。一ヶ月のサラリーを全て注ぎ込んでも、まだ足りなかった。トホホ……トイレに隠れて、上司に叱責された以上の男泣きをした。いや、ホンマでっせ。
三話
朝から雪が積もっている日は、店に着くと直ぐに制服に着替え、大通りまで約五十メートルある道路を、ほとんどの男子が、角スコを使って雪かきをし、ダンプに放り上げる肉体労働を、冬なのに汗をかきながらする。市の予算内ではあるが、ダンプに雪を満杯になるまで積み上げ、運転手は近くある市の指定する川へ、山積みになった雪を捨てた。
その後、営業中にもかかわらず、屋上に道路と同じ位に積もった雪の処分を、シフトを組んで二十名で行う重労働もあった。屋上の雪を指定された川に捨てに行かないと、最上階の天井に歪みが生じる恐れがあるからだ。
その年は暖冬ではあったが、「率先垂範」も社訓の一つである為、そのキツイ肉体労働を四回、私も強いられた。
正月休みは二日間あった。先ず妻の実家に挨拶に行って一泊してから、私の家に行くのが恒例だった。関西から、商品を運んで来る運転手に教えてもらった道を行けば、かなりの時間短縮になるらしい。ほとんどの主任は、大阪府、兵庫県に里帰りするので、カーナビよりもそちらの方を選んでいた。
これは、私が実際に経験したカーナビのいい加減さだ。
和歌山県へ妻と一緒に旅行に出かけた時の話だ。
宵闇迫る時刻、ナビ通りに愛車のベンツを転がしていた。ところが、道はだんだん狭くなり、舗装していない山道を数時間もかけて、やっと目的の所に着いた。車内で地図を確かめると、なるほど最短距離を案内していた。しかしながら、舗装された国道を走行する方が、ベストだと分かった。単に、不安と肩こりを、私にもたらしただけだった。もっとも、技術革新が日に日に進んでいるから、未来のカーナビは、そのような馬鹿げた案内をしないだろうが……。
その時だった。
車の周囲に、突然、重苦しくおどろおどろしい異様な雰囲気がただよい、心臓も凍るようなイヤ
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