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第2話 王国の内憂
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れている。
数年前海洋国家の連合が世界で初めて戦力化に成功したのだが、その報告を秘密裏に受けた王国軍部が、試行錯誤の末にようやく完成させたのである。
王国とソ連は陸続きであるが、死の森――ソ連側通称西部大森林――が横たわり往来はできない。ゆえに、500年以上の長きに渡り両者は接触しなかったのだが、3年前に偶然発見された海路により、王国はソ連を「発見」したのである。
以来、ソ連側が指定した港町「デジマ」を介して細々とした貿易が続けられてきた。
発見当初、王国上層部では、すぐさま攻め滅ぼすべきとの声が上がったものの、発見者の猛反対により頓挫した経緯がある。ソ連の首都モスコーに賓客とした招かれた彼は、ソ連と戦うべきではないと国王に直言したのである。
それにより貿易のみの関係が3年も続いたのだが、不満分子によって発見者は既に更迭されている。なにせ「あれは、黄金都市だった」とか「1億クロネの夜景だった」とか法螺を吹いたのだ。
誰も信じるわけがない。国王の幼馴染でなければ、処刑されていたかもしれない。
とはいえ、飛竜が主力の王国では、攻め手に欠けるのも事実だった。飛竜基地から直接襲撃するには遠すぎたのである。だからこそ、表面上は貿易を続けつつ、得た金で十分な数の竜母を用意してから一気に攻め滅ぼすつもりだったのだが……。
「それに加えまして、完成したばかりの竜母3隻のみではいささか戦力が心もとなく」
「ふむ? 練度不足に戦力不足かね? 計画では竜母3隻で十分な戦力だったはずではないか」
「それは上陸し拠点を確保できてさえいれば、の話です」
「なんだと!? 陸戦隊のせいだと申すか! 貴様らがデジマではなくレニングラードとやらを襲撃したせいで、陸戦隊は撃退されたのだぞ! どれだけの犠牲が出たと思っておる!」
「ほう? 亜人ごとき空からの援護など不用と仰ったのはどなたでしたかな?」
「なにぃ! 負け犬風情がほざくか!」
「そうだそうだ。亜人相手に1個飛竜大隊などそもそも過分な戦力であろう! にもかかわわらず、おめおめと負けおって」
「やはり隊長たる卿の責任が重く……」
議論が噴出するが、セオリー通りに上陸拠点であるデジマを攻めなかった飛竜隊の旗色が悪い。
唐突な出兵とはいえ、近々出征する予定だったのも事実だが、時期が早すぎた。まだまだ準備不足だったのだが、点数稼ぎをしたい王太子派によって無理やり作戦が決行されたのである。
しかも計画通り海と空からデジマを攻略するのではなく、いきなりレニングラードを奇襲したのは、王太子の案である。戦果の拡大を狙った暴走の典型的な例だった。
クロフォード自身は王太子派ではなかったが、次期国王の覚え
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