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竜宮城に行けた男
竜宮城に行けた男
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した。
 私は、いつも気になっていた疑問を、怖々女王に投げかける決心をしたのだ。
「ここは一体どこなのですか? 私が住んでいた地球とは、どのような位置関係にあるのでしょうか?」
 女王は一瞬悲しそうな眼をして私を見つめ、次のような衝撃的な事実を述べた。
「貴方様は、歴史は一直線に経過しているから、歴史に関わらないようにアウトサイダーとしての振る舞いをなされた。思惟だけで、貴方様の世界の室町時代、ここにこられたとおっしゃいましたわね。でも、貴方様の世界とこの世界とは、全く異なっているの。貴方様は、宇宙物理学に精通しておられるとお伺いしていましたので、よくお分かりだと思いますが……。この宇宙は正物質つまり陽子や電子等で構成されています。ですが、同時に反陽子や電子等の反物質も存在しています。物質の不均衡は、今を去る百三十八億年前に起こったビッグ・バンで、正物質と反物質がほぼ同数出現したのよ。それらの間には、微妙なゆらぎがあり正物質の方がわずかに多かった。だから、現在の宇宙は全て正物質で構成されている、と貴方は信じておられるようですね。ですが、ビッグ・バンによって様々な宇宙が、まるで泡のように生まれたの。その一つがこの世界なの。この世界の全てが反物質で構成されています。貴方様が住んでいらした世界とは、根本から異なった世界なの。思惟だけで時間遡及されたこの世界は、貴方様の世界に酷似した一種のパラレルワールドです。どの瞬間で歴史を変えようとされても、貴方様が生活していらした世界には一切影響しないわ!」
「と言うことは、この世界でどのような行動をとろうとも、もといた世界に変化はないし、無事に地球に帰ることが可能ですね?」
「もちろんですわ。どうぞご心配なさらないで存分にお楽しみ下さいませ!」
「でも、どうして私をここに招いたのですか? おさらいになって、恐縮ですがもう一度お答え願えませんでしょうか? 私の脳裏に深く刻み込みたいので……。ここの広さは? 文明の程度はどれほどまで進んでいますか? 科学の進歩は? 皆様は何歳まで生を全うし、そのよって立つ哲学は?」
 私は、いまだに納得できない疑問を、矢継ぎ早に投げかけたのだ。
「質問がたくさんおありなのですね。知的好奇心に溢れておられる、お顔をされていらっしゃるわ。まだまだ、ご質問がおありでしょうけれど、とりあえず、今までのご質問にお答えします。まだ、ご案内しておりませんが異次元の動向を、常に観測しています。言葉が悪いかもしれませんが、お気になさらないでね。私達は、様々な知的生命体を捜し続けています。小川 よしずみ様つまり貴方様の思念を発見し、皆で検討した結果ここに誘導したのです。この世界の広さですが、三次元的には、カリフォルニア州と同じ面積です。しかしながら、七次元的には無限の広がりを持っています。私達が開
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