竜宮城に行けた男
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ここでの礼儀なのであろう女王は片膝を折り、ていちょうに私に座るよう勧めた。私の右横に女王が座り左横には彼女の娘が座った。だが、子細に観察しても二人は、同じ年齢にしか見えない。それほど、女王には若さに満ち溢れている。ここは謎に満ちている。私には質問が山ほどあった。しかしながら、竜宮城に訪れたばかりなので失礼かなと思い、黙って何をするでもなくぼんやりとしていた。すると、目の前に三十名ほどのターキッシュ・ベリーダンサー達が現れたのだ。彼女達は肌を露わにした衣装を着て、腰より高い位置で留められたベルトを締め、脚を完全に露出させるようなスリットが入ったスカートを身にまとっている。足元には、ハイヒールとプラットフォーム・シューズ(厚底靴)を履いている。彼女達の踊りはとても素晴らしく、しかも官能的であり妖艶さが辺りの空気をショッキングピンクに染めていたのだ。私は充分過ぎるほどに目の保養をさせてもらった。
約一週間、そんな生活に甘んじてきたが、私の頭脳一杯に多くの疑問が噴出しだし、矢も盾もたまらず解答を求め出した。生まれながらの旺盛な知識欲が、全ての享楽を凌いだのである。
女王に、矢継ぎ早に質問を次々と投げかけた。彼女の私の質問に対する回答は明確であり、納得できることばかりである。私は女王の並みの天才以上の優れた頭脳に、大いに感心したのだ。
「この時代に、皆さんはどのようにしてこられたのですか?」
そう尋ねると、女王は何かを思いだすように遠くを見る目つきになった。しばらくの間、私と女王に漆黒≪しっこく≫の沈黙が覆いかぶさった。ようやく、弱々しく小さな声で女王が言葉をつむぎだしたのだ。その声には、ある種の悲哀が込められていた。
「まるで雷のように放電している空で、見る見る大きく成長した濃い緑色に輝く渦巻が、私達を大地もろとも時代と場所を移動させたのよ。……多分、異次元にタイムスリップしたのだわ。だから、今ある生活スタイルの全ては昔のままなの」
「でも、タイムスリップの概念は、貴女がいた時代にはなかったはずですが?」
今までの沈んでいた顔をパット明るくさせ、にっこりと笑いながら優しく女王は語った。
「小川様、あなた様がいらした地球のアメリカで未来に開発される予定の飛躍的に進歩したネットワークが、ここでは既に存在しています。二十四世紀のアメリカでのハイテクですわ。ここには、超エリートを育てる養成学校があります。そこで、全員が寄宿生活を送り、高度なテクノロジーを学ぶのです。だから、未来との交信も可能ですわ。貴方様がいらした世界では、宇宙からの微弱な電波だと思われているようですが……」
「なるほど。で、この島の大きさはどれぐらいですか? しかも、我々の誰にも見つからない訳は?」
「地球にいる人々には、この島は存在していないのと同然なの。つまり、空想の中だ
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