0301話『少年との話し合い』
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最初からこの世界の事を改善してくれるとは思っていなかったからただ見守っていたんだ。
だけどふたを開いてみればどうだい?
君の保有する艦娘達の活躍が瞬く間に広がっていって、最初の大型作戦での活躍を鑑みて少しずつだけど艦娘の扱いが変わっていったのを今でも覚えているよ』
『だけど、それは大本営のおかげでもあるし別に私は普通に深海棲艦と戦っていただけだ』
『それだけでよかったんだよ。もうさっきも話したし知っていると思うけどこの世界の人間は艦娘を轟沈させてでも勝利をもぎ取っていったんだけど、君は誰一人失わないで何度も限定作戦を乗り切っていった。
それでちゃんと育てれば艦娘達もきっとその期待に応えてくれるっていう話がどんどん海軍内で広がっていったんだ。
ほら、最近はもう聞かなくなったんじゃないかい? 艦娘を特攻させるっていう反吐が出そうな話題は?』
『確かに……』
柳葉大将もそういえば最近は前はあんまり笑う人でもなかったのに何度か通信で話す時は笑みを浮かばている事が多い。
上に立つ人がこれなのだから改善されてきた証なんだろうという事だ。
『君のおかげで良い世界へと少しずつだけど変わってきている。それのお礼として一年に一回というのにはロマンがあるだろう、一緒になっている艦娘と分離できる機会を与えてあげたんだ』
『やっぱり……』
『君も嬉しかったろう? いい事じゃないか。だけど、あの工作艦がまんまとある事をやり遂げてしまって僕の計画外の事が起きてしまった』
『ある事……それってやっぱり私と榛名、それにシンちゃんの分離の件ですか?』
提督がそう聞くと少年はため息を吐きながら、
『そうだよ。もともと君とそのシンちゃんって子が榛名と一緒になっている事で君があの世界での存在していられるエネルギーを得られていたんだ。
だけどそれが分離してしまったせいで君はあの世界で存在していられるだけのエネルギーが不足してしまった。
だから今回僕は君をこの空間に呼び出すことにした。
君が感じていた謎のノイズは僕が呼びかける声だと思ってもらって構わないよ?』
『なるほど……』
『そして今の君の現状はこうなっている』
そう言うと少年はとあるスクリーンを映し出した。
そこに映っていたのは大勢の艦娘達に見守られながら今にも消えそうになっている自身の姿だった。
『これは……!』
『そう、今の君の現状だよ』
そこでもう一度少年はため息を吐いて、
『この問題は新たに僕が存在し得るだけの力を君に与えれば解決する問題だ。
だけどそれを含めて君にある問いかけをしたいと思ったんだ』
『問いかけ……?』
『こういうのは君からしたら魅力があると同時にとても薄情な質問だとも思うけどね、君のもとの世界に戻れるって言ったら君はどうしたい……?
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