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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
0299話『榛名の不安と祈り』
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もしこんな大事がみなさんの耳に行き渡ったらそれこそ鎮守府は揺れてしまいます。
おそらく士気低下で出撃もままならず、もし最悪の事態として提督が消えてしまったら後を追う子は多いでしょう。榛名さんももちろん後を追う覚悟ですよね?』

明石さんにそう言われて私は反論が出来なかった。
その通りです。
提督がいない世界なんている意味がありません。
そこまで私は提督の事を愛しているんですから。

『だから榛名さんは提督の事を見ていてください。多分ですけど……榛名さん、提督の手を握ってみてください』
『え? はい……』

それで少しだけ透けている提督の手を握ってみると途端に提督の透ける現象は収まりました。これは……?

『やっぱり……。提督と榛名さんはまだ完全に繋がりが絶たれたわけではないんですよ。直接触れることによって提督との絆の力と言えばいいのでしょうが、榛名さんの力が提督に流れていくと推測しています。ですのでできるだけ提督の事を離さないでいてください』
『……わかりました』









そんな話を明石さんとしたのでした。
それで私は執務室でいつもと変わらずに仕事をしている提督の手を止めるわけにはいきませんので嫌な予感がしたら肩もみなり手を触れるなりしてなんとか提督の身体が透けるのを阻止しています。

「榛名……? どうしたんだ?」
「え? なんの事でしょうか……?」
「いや、なんか今日はやけに榛名のスキンシップが多いなって思ってな」
「ダメ、ですか……?」
「いや、ダメなんてことは無いよ。むしろ私は嬉しいから」
「そうですか。よかったです」

すみません、提督。
提督にこの症状を自覚させてしまったら悪化するかもしれないという明石さんの助言で真実を話すことが出来ないんです。
現状、この事を知っているのは私に明石さん、それに妖精さん達だけです。
艦娘の皆さんに相談できないのが辛いところですけど頑張らないといけません。

「提督……」
「ん?」
「安心してください。榛名はいつも提督とともにありますから。必ず提督のお役に立ちます!」
「榛名……。ありがとう。でも、榛名も無茶だけはしないでくれ。榛名になにかあったら私はどうかしてしまうかもしれないから」
「はい、わかっています。榛名は大丈夫です!」

元気に振る舞うのですけどやはり辛い気持ちが溢れてきてしまいます。
神様でも誰でもいいです。
明石さんがもし間に合わなかった時は提督の事をお助けください……。
皆さんから、榛名から提督を奪わないでください!
私はそう祈りを捧げました。



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