第三話「チカラとは?」
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ば俺より食うんじゃね……?
「ははは……食べるの好きなの?」
「うん! 山盛りスイーツとか大好物で……」
――スイーツ好きか、やっぱ女の子だな?
強化人間になったとはいえ、やっぱり趣味は変わらないようだ。俺も同じである。
「九豪君は、好きな食べ物とかありますか?」
「俺? そうだな……ラーメン?」
「ふふっ、九豪君らしい食べ物ですね? 豚骨味とか?」
「豚骨醤油、国道あたりにあるラーメン屋のが大好きなんだ」
「そうなんだ……」
雑談が続く中、次に俺が言おうとした時だった。
「うわぁ〜! 九豪君、見てください?」
「……?」
何やら、飛鳥がふと目に留まったスイーツ店に展示されている食品サンプルを目をトロかせていた。
「おっきなスイーツですよ〜!?」
「ああ、デッカイな?」
「はうぅ〜食べたいなぁ……あ、でもお小遣いもう無いし……」
値札を見れば、二千円相当と結構するスイーツ、厳密にいえば直径50センチ近くもある、クリームで分厚く膨れたイチゴとバナナの大盛りクレープである。しかし、その値札の隣にあるプレートには「今日だけ特別サービスデー!」と書いてあり、値札には二千円に赤くバッテンされて、二千円が千円に半額で販売されていた。
――うわぁ〜……見るだけで胸やけしそう〜
俺も甘いものは好きだが、さすがにこれを一人で食うと思うとちょっとな……
「おいしそうぅ……」
しかし、朱鳥は一人で食べたい気満々のようだ。しかし、小遣いがないことが唯一の難点だ。そういえば……
俺は、ふと財布を見た。偶然にも中に千五百円相当の金額が残っている。
「……桑凪さん、よかったら食べない? それ?」
「へっ?」
「よかったら、奢るよ?」
俺は笑顔というよりかは苦笑いした。
「くうぅ〜! 美味しいですぅ〜!!」
店内の向かい合わせの席で、はむっとバカでかいクレープをかじり、頬張る朱鳥を目に俺は苦笑いだ。見ているだけで胸焼けしそうだ……
「でも……いいんですか? 私、御馳走になっちゃって……」
遠慮しがちで、何度も聞いてきた。そうだろうな? まぁ、俺は一番安い百円のジュースを片手に苦笑いした。
「ははは、いいよ? 遠慮得ずに食えって?」
「でも……」
「本当に、スイーツが好きなんだな? 俺も久しぶりに好きなラーメン屋いくときとか、調子に乗って大盛り頼んじまうからさ?」
「そうなんですか? あ、じゃあ……はい! 半分こです」
と、彼女はナイフでクレープの半分を切って、下半分を俺に寄こした。
「いいのか?」
「はい、一緒に食べた方がおいしいですし」
「じゃあ、こちらも遠慮なく」
俺もクレープに食いついた。おお……意外と美味いじゃんこれ!
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