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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)
第十五話:急がば回れ
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せる台詞を付随させる。
昨晩からずっと膨れっ面だったリュリュさんは、更に頬を膨らませて発言者を睨み付ける。
「ねぇリュリュ……彼の粗を探すのは止めた方が良いわよ。貴女じゃ余計ストレスを被るだけ」

見かねたゼシカ嬢はリュリュさんにウルフ殿と言い争うのは止める様進言。
“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”じゃありませんが、ウルフ殿を擁護する様な発言をするゼシカ嬢まで、憎らしく睨み付けるリュリュさん。

でも流石にゼシカ嬢に罪は無い事を理解したのか、また膨れっ面に戻って船(自分の船室)に早足で撤退する様子。
しかし……「リュリュさん。いじけるのは構わないが、自分の荷物くらいは運び入れろ! お姫様らしく他者の手伝いをしないのは見逃してやるから!」とウルフ殿の痛烈な口撃(こうげき)

グランバニア王家のマリーちゃんを除く皆様が、王族として特別扱いを受ける事を嫌う。
そんな中、『お姫様らしく』と言えば強烈に自尊心を傷付ける事になり、尚且つ『見逃してやる』と追い打ちを掛けられれば、性格的に逃げる事を選択出来なくなる。

案の定、踵を返すと自分の荷物を乱暴に掴み、早足で船室へ入れると、他の荷積みも顰めっ面で行っている。
しかも時折涙を流し、それを周囲に見せない様に素早く袖で拭いながら。
何か声をかけたい……だが、何と声をかければ彼女の心を楽に出来るのだろうか?

「リュリュさん……泣くぐらいなら俺に噛み付くのは止めろ。俺も今回の出来事の先々を考える必要が有るから、リュリュさんの面倒を見るのも楽じゃ無いんだ」
私が言葉に悩んでいると、ウルフ殿が追撃とも言える発言をリュリュさんに浴びせる。

「リュリュさんは良いよ……目の前に嫌いな俺が居て、その俺の粗を探して口撃(こうげき)の隙を突けば満足なんだから。だけど俺は、貴女を含めて全員を無事に故郷に帰す事を考えなければならないんだ。何せリュリュさんには出来ない事だからね」

「べ、別にアンタの粗探しなんかしてないモン!」
「じゃぁ俺の発言の行く先を常に予想してくれ! 性格が悪いのは認めるが、それだけで他者を苛つかせてる訳じゃぁないんだよ。苛つかせる事によって発生する相手の心の揺れを感じ取って、それに対応すべく行動してるんだからさ……」

その通りだ……
リュカ様の弟子であるウルフ殿は、常に相手の心を探り、それに対する言動を行っている。
彼の発言の行く先を予想出来ないのであれば、ただ黙って見守っているのが一番。

「もう良いわよ。アンタになんか話しかけないから!」
何度も涙を拭いながら、捨て台詞の様に言い放ち、最後の荷物を船倉へ運び込むリュリュさん。
後を追って良いのかウルフ殿に視線で確認すると、大きく溜息を吐き……軽く手を縦に振って許可を表した。

だが大きな溜息……
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