103 逃走
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演技が始まっていた。和島はステップをしだした。そして、まずはダブルトウループ、そして、トリプルサルコウを連続で決めた。
(まだ四回転アクセルを見せないのか・・・。きっと後まで温存する気だね・・・)
藤木はモニター越しで見て思った。和島はその後、コンビネーションスピンを行った。12回転と基準の10回転をクリアした。そして、ダブルループ、トリプルフリップ、トリプルアクセルを決めた。そして、次にフライングシットスピンを決めた。次にステップシークエンスをここで決めた。そして、ダブルアクセル、アップライトスピンをした。藤木はこれを見てレベル4は確定だろうと思った。
その時、和島がジャンプを見せた。あの彼が必殺技としている四回転アクセルを。藤木は改めて彼に脱帽した。そして、歓声が沸き上がった。片山も和島の四回転アクセルに魅せられた。
(なんと!あの和島俊という子、あの難しい四回転アクセルができるのか!これはかなりの高得点になる・・・。藤木茂、君は彼を上回る演技を見せる事ができるのか・・・!?)
みどりも堀も和島の四回転アクセルに驚き、拍手をしない訳にはいかなかった。
「た、確かに藤木さんが強敵と思う訳ですね!」
「そうね・・・」
堀は藤木が心配になった。
(藤木君、あの和島君に勝つためにこれまで必死に特訓してきたよね・・・。お願い、その成果をここで見せて・・・)
堀は藤木の評価が和島より上回ることを切実に願っていた。
(和島君、君は凄いよ・・・。でも、僕だって負けられないんだ、金賞を勝ち取るための目的があるからね・・・!!)
城ヶ崎は太郎を抱えての逃走を続けていた。まるで空襲から逃げるように。ただ路上を走っているだけでは簡単に見つかってしまうので、公園の草木の茂みに隠れたり、柵や塀をよじ登って渡ったりした。しかし、こんな事を続けていてもいずれは見つかる。だが、隠れさせてもらう家もない。また、太郎も泣き続けて居場所を感知されやすい事も問題点だった。
その時、神社を見つけ、城ヶ崎は縁の下に隠れる事を思い付いた。
「あそこなら何とか行方を眩ます事ができるかも・・・!!」
城ヶ崎は神社の境内の縁の下に潜った。太郎はまだ「うわ〜ん!!」と泣いていた。高さが低く、せいぜいしゃがむ事が精一杯だったが、隠れるには最適だった。また、縁が上にあるため、太郎の鳴き声も外には響きにくくなるだろう。城ヶ崎は太郎の手が非常に冷たい事に気付いた。また、コートを着る暇もなく家を飛び出したので、自分の体も冷えて震えていた。
「太郎君、寒いのね、可哀想・・・」
「うわ〜ん、うわ〜ん!!」
城ヶ崎は自分と太郎の手を擦るなどして寒さを凌ごうとした。
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