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第1話 偽レーニン・イン・フレイム
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クワで共同生活をしていた記録が残っている。
 その後の人口爆発は、「人であふれたモスコーの姿がみたい」という素朴な欲求が原動力になったのは間違いない。


 現在500万人が暮らすソ連の首都モスコーは、ほぼ当時の姿をそのまま残している。ライフラインは完備され旧通貨「ゴールド」を消費することで機能する。まさに魔法の力だが、いまだその仕組みはわかっていない。
 

 レーニンが残した "ぶい・あーる" というキーワードが鍵だと学者たちは考えている。


 最早入手不可能な「ゴールド」の備蓄が減り、新通貨「ルーブル」への移行。技術の発展に従い、魔法のライフラインに頼らなくなった。科学の勃興である。いまのモスコーは科学の力で動いている。
 それでも建国からモスコーレベルのテクノロジーを会得するのに500年以上の時を要した。
 ゼロから築いた文明。襤褸切れしかもたない無学な子供とその子孫たちの執念の結果である。


 当時のクルチャ科学人民委員は「われわれはようやく1941年に追いついた」という謎の言葉を残している。


 さらにレーニンがもたらした様々な知識は文明を飛躍的に発展させた。
 日本語、イデオロギー、義務教育、基本的人権の尊重、健康で文化的な最低限度の生活、マンガ、ラノベ、エロゲなどなど多方面にわたる知識は驚嘆すべきものだった。
 そのなかでも、魔法と迷信が支配する暗黒世界から科学と人が支配する新世界へのパラダイムシフトは、ソ連の根幹をつくったといってよい。


 世界最高最強の魔法使いが、その優位性を捨ててまで推奨した新しい科学という力。
 血統によって決まる魔法の才能では、差別をうむ。レーニンはそれを見越していたのである。
 わざわざ伝統を破壊する必要などなかった。奴隷の子どもたちにはそもそも伝統などなかったのだから。


「魔法より科学のほうが強いっしょ。いや、おれ高卒のオタクだからよくわからんけどさ」


 コーソツという職業がなんなのかはいまだに議論が分かれているが、レーニンの謙虚な人柄をうかがえるエピソードといえよう。オタクとは知識人のことだと判明しており、インテリたちはこぞって「私はオタクである」と名乗った。


 ソ連に宗教はない。大陸の一般的な宗教は聖光教だが、その聖光教に迫害された亜人の集まりであるソ連が神を信じる道理がなかった。
 そもそもこの国は科学的社会主義を掲げており宗教との折り合いが悪いこともあり、無神論者がほとんどである。


 その代わりがレーニンだった。街角のいたるところに彼の銅像が立ち、学校の教室には必ず彼の肖像画がある。都市のメインストリートの名前はレーニン通りがほとんどだ。
 ソ連人にとっての神は、レーニンだった。だが、共産主義の守護者た
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