101 連絡網
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城ヶ崎は自分の部屋で永沢と太郎の三人でいた。
「たー、たー!」
太郎は城ヶ崎に懐いていた。
(太郎め・・・。城ヶ崎なんかと仲良くして・・・。コイツ生意気だっていうのを解ってもらいたいね・・・)
永沢は太郎が城ヶ崎と仲良くしているのが何かと気に食わなかった。しかし、太郎が城ヶ崎のピアノを好いている事もあり、城ヶ崎とは切りたくても切れない縁だった。その時、城ヶ崎の父が部屋に入ってきた。
「姫子!」
「パパ!?どうしたの?」
「今永沢君を探していると思われる人から電話が来た。もしかしたら永沢君が言っていた各務田という男かもしれない。クラスの皆に注意を呼び掛けろ!そして、永沢君について聞かれたら何も答えるなと言うんだ!」
「分かったわ!」
城ヶ崎は太郎を永沢に返し、部屋を出ていった。
「うわ〜ん、うわ〜ん!!」
「あ、太郎、泣かないでくれよ!!」
城ヶ崎は連絡網を利用した。まず長山に電話を回した。そして、笹山に、次にたまえに、とクラスメイトに次々に電話を回した。
クラスメイト達は連絡網で永沢の行方や存在を知らないふりをして誤魔化すように伝え合った。永沢の両親を別荘に避難させている花輪には使用人の手で間接に別荘にいる花輪に伝える事ができたが、藤木には誰も家にいないようで、誰がかけても繋がらなかった。
その藤木は大会本番前の練習に精を出していた。ステップを上手く踏み、そしてスピンをし、さらに様々な種類のジャンプをしていた。ただ、相手にばらすと良くない事と、他の参加者にぶつかる恐れも考えて、アクセルからのスパイラルの姿勢という技を見せる事は控えた。
(折角ここまで練習してきた技を披露できないのは辛いけど、どうか成功してくれ・・・。あの技、本当に難しいんだ・・・)
藤木は失敗を恐れていた。なお、この自分が考えた技は片山には知らせていない。片山の評価はいかなるものなのかも気になった。
(僕は片山さんからいい評価を受けているけど、果たしてあの技、本当に受け入れてもらえるだろうか・・・。それとも卑怯だって文句言われるかな・・・)
練習終了を呼び掛けられ、藤木はリンクから引き揚げた。
みどりと堀は堀の父の車によって御殿場へと向かっていた。
(藤木さん、頑張ってください・・・。私がついていますから・・・)
みどりは藤木の事が心配と共に、健闘を祈っていた。
「吉川さん」
堀が呼び掛けた。
「な、何でしょうか?」
「藤木君をそこまで応援しているならきっとその想い届くわよ」
「は、はい・・・」
みどりは堀の言葉でもしかしたら藤木と堀の関係は友達というだけで、己が抱いた猜疑心は勘違いだったのかもしれないと思った。この際、ここで思い切って堀に質問する。
「堀さん、堀さんは、藤木さんの事、好きですか・・
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