99 疎開(くもがくれ)
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日精一杯頑張るよ。絶対に金賞を獲ってみせるよ・・・」
『うん、私も藤木君を必死で応援するわ』
「ありがとう・・・。みどりちゃんにもよろしく言っておいてくれるかい?」
『うん、わかったわ。吉川さんも藤木君のスケート凄い楽しみにしていたわ』
「そうか、それじゃあ・・・」
藤木は電話を切った。
永沢は城ヶ崎家で夕食をご馳走してもらっていた。太郎については彼の分のミルクやベビーフードも永沢の母によって渡されていたため、困る事はなかった。夕食時、永沢は城ヶ崎とその両親に何が起きたのかを話した。
父の友達と名乗る各務田出吉という男から電話が来た事、父親から命を狙われていると聞き家を飛び出した事、その間、花輪とヒデじいと合流し、花輪の家へ一度は泊めて貰う事になるも、既に待ち伏せされ、両親は花輪家の別荘へ避難する事になり、自分は藤木の家に泊めて貰おうとするも、藤木の家には誰もおらず、途方に暮れた事・・・。
城ヶ崎の両親はそれで納得してもらい、城ヶ崎の父は警察署に連絡をしてもらった。永沢は風呂に入れてもらい、寝る場所ピアノのある居間を寝床として借りてもらう事になった。最初は城ヶ崎の父の部屋で寝ないかという提案があったが、永沢は断った。太郎については城ヶ崎の母が預かって寝ると持ちかけられたが、これにも拒み、太郎と共に居間のソファーで寝る事にした。
「永沢・・・」
「何だい、城ヶ崎?」
城ヶ崎が部屋に入ってきた。
「あの、永沢、あんたも大変ね・・・」
「そりゃ、分かるだろうな。君は本当は僕がこんなところにいてうっとおしいんだろ?」
城ヶ崎は言葉に詰まった。確かに普段の永沢なら家にあがるなんて抵抗があった。しかし、今回の永沢はかなり命を狙われている危機にある。さらに以前自分が不登校になった時、永沢の弟の太郎に立ち直らせて貰った恩もある。そうなると、救いの手を差し伸べない訳にはいかなかったのだ。
「そんな事ないわよっ!太郎君を抱いてもいい?悪い事しないから・・・」
「ああ、別にいいさ・・・」
城ヶ崎は太郎を抱えた。太郎は城ヶ崎の顔を見て微笑んだ。そして、城ヶ崎の髪を引っ張って遊んだ。
「キャッ、太郎君ったらっ!」
「たー、たー」
それから太郎は眠くなったようで体の力が抜けたようになった。城ヶ崎は太郎を永沢に帰した。
「それじゃおやすみ、永沢、太郎君・・・」
城ヶ崎は自分の部屋に戻った。しかし、電気を消した後も永沢は胸騒ぎで寝る事ができなかった。
みどりは電話で堀から藤木がみどりによろしくと言っていた事を伝えられ、嬉しく思った。
(あ〜、藤木さん、明日頑張ってください・・・!!私、藤木さんのために全力で応援頑張ります!!)
みどりは明日の大会で藤木の応援をする事に非常に待ち遠しく感じた。
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