暁 〜小説投稿サイト〜
二人の引退
第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
 清原は守備も走塁も極端に悪くなり怪我も多くパワーで打つだけの選手になった、それに対して桑田は。
 選手としては衰えていったが野球理論をさらに磨いていっていた、それでその理論によってだ。
「凄いな」
「そこまで考えているんだな、野球のこと」
「これが桑田か」
「勉強になるな」
 多くのファンを促らせた、そして。
 彼もだ、こう言った。
「引退してからもな」
「あれだけの理論ならですね」
「凄い野球人になりますね」
「根性論が一切なくて」
「理知的な分析があるので」
「まるで学者だ」
 桑田の野球理論はというのだ。
「凄いなんてものじゃない」
「そうですね」
「あれだけの理論家はそうはいないです」
「後は古田ですけれど」
「古田にも匹敵しますね」
「それだけ勉強しているということですね」
「そうだ、だから引退してもな」
 それからもというのだ。
「コーチにならなくてもな」
「監督にもですね」
「巨人はフロントに意見を強く言う人を監督にしないですからね」
「フロントの力が強くて」
「監督もそれに従えですから」
「だから監督にはなれないだろうけれどな」 
 巨人の監督にはだ、例え生え抜きでも。巨人の絶対の不文律として監督は生え抜きのスター選手でなければならないというものがあると言われている。
「しかしな」
「それでもですね」
「あの野球理論が尊重されて」
「それで球界でもですね」
「確かな地位がありますね」
「そうだ、桑田は大丈夫だ」
 彼の場合はというのだ。
「どんどんよくなっていく」
「引退してからも」
「そうなりますね」
「桑田の場合は」
「そうなりますね」
「しかし清原はな」
 年齢もあり劣化してだ、完全に守れず走れず特定のボールしか打てないそんな選手に貼り果てていた。
「何の理論もない」
「テレビで調子に乗って言うことも」
「何かヤクザみたいですし」
「あそこまでなると」
「引退してもですね」
「タレントにはなれても」
「まともなタレントでもない」
 タレントといっても色々あるがというのだ。
「演技も知的な会話も出来ない」
「学識もないですしね」
「だからですね」
「そんなタレントですか」
「野球の適当なこととか馬鹿なことを言ってる」
「その程度のタレントですか」
「そんな奴になる、桑田と違う」
 悪い意味で違うというのだ。
「引退してもな」
「それでもですか」
「桑田と清原は違いますか」
「違う様になったんですね」
「そこまで」
「そうだ、そうなる」
 その言葉は冷たかった、そして実際にだった。
 桑田の引退は心ある者達から惜しまれた、だが清原のそれは心ある者達は見向きもしなかった。
 引退してからの二人はもう言うまで
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ