98 決戦前
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は各務田の仲間に捕まる可能性を恐れながら、適当に街を走った。その時・・・。
「おい、あのガキいたぞ!」
「うわあ!!」
各務田の仲間に見つかり、必死に逃げた。そして神社を見つけ、草木が茂る場所に隠れた。暫くして、各務田の仲間がいない事を確認して、その場所を出た。しかし、どこに逃げるか。藤木がいないならば山根の家か。しかし、簡単に泊めてくれるわけがないだろう、その時・・・。
「永沢っ!?」
永沢は各務田の仲間かと思った。しかし、遭遇したのは城ヶ崎だった。
「何だ、城ヶ崎か」
「どうしたのよっ、こんなに走ってっ!」
「君の知った事じゃない!とにかく僕は変な奴らに追われているんだ!早く僕から離れろ!君まで巻き添えになるぞ!!」
「えっ!?あんたはどうすんのよっ!?」
「泊めてくれる人を探してるんだ・・・!家には危なくて戻れないし、花輪クンの家にも目を付けられた!」
「永沢、私の家に来てっ!」
「ええ!?」
城ヶ崎は永沢の手を掴んで自分の家へと走って言った。永沢は自分の嫌いな女子に助けてもらうなど、変な話だと思ったが、とにかく、城ヶ崎に連れられた。
藤木達は旅館に帰っていた。そして、浴場で体を洗い、湯につかった。その時・・・。
「ほう、藤木君じゃないか。キミも同じ旅館だったんだね」
藤木が振り向くと、和島だった。
「和島君・・・。君はスケート場にいなかったじゃないか。一体何していたんだい?」
「おっと失礼・・・。ボクの技をやたらと見せびらかすものじゃないなと思って・・・。清水のスケート場で練習をしてから来たんだ」
「う・・・」
藤木は和島は勝つために色々と策を練っている事で動揺した。これでは本当に彼に勝てるのか。そしてみどりや堀が来るというのに、本当に勝てるのだろうか。大会は男女別に、そして上位三名はそれぞれ金賞、銀賞、銅賞を入賞される。藤木は和島に会うまでは賞が獲れればいいという考えだったが、今では彼の技術について改めて手強く感じている。そうなると金賞か、和島よりも上位の賞を獲らなければならないと考えていた。だが仮に和島が金賞の場合は、たとえ自分が銀や銅でも大きな屈辱だ。ならば和島に勝つためにも、そして不幸の手紙事件で非難した皆を見返すためにも金賞を己の物にするしか考えられなかった。
「とにかく本当の勝負は明日なんだ。絶対に負けないよ」
藤木はそう言って浴場を出た。
「ふん、焦ってるな・・・」
藤木の家族は食事の為に広間に来た。
「それじゃあ、茂の明日の健闘を祈って乾杯だ!」
父が威勢よく言った。
「父さん・・・。でも、やれるかどうか緊張してきたよ・・・」
「何言ってんだ。お前はスケートに凄い興味を持って来た結果、上手くなったんじゃないか!あの元オリンピック選手だってお前の才能を認め
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