0294話『薬の完成』
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よく執務室へと入っていく夕張。
そこではいつも通りに大淀とともに今日の任務表を見ていた提督の姿があった。
夕張は気持ちも新たに提督に報告をしようとする。
「提督。ビッグニュースですよ」
「その物言いだともしかしてついに薬が完成したのか……?」
「正解ですよ。明石がついにやってくれました」
ブイ!とブイサインをしながら夕張は提督にそう告げる。
《提督! ついに明石さんがやってくれましたね!》
「はい。明石、頑張ったわね……」
榛名と大淀も明石の頑張りを知っている為に完成した事が嬉しい様子である。
「そうか……頑張ってくれたんだな。それで明石は今は?」
「かなりの疲労で今は工廠の仮眠室で寝入っています」
「そうか、わかった。それでその薬はいつ頃出してくれるんだ?」
「明石が言うには明日に提督に渡すと言っていましたね」
「明日か。まだ限定作戦まで期間が少しだけあるからちょうどいい感じかな?」
「そうだと思います。分離した後の経過観察や榛名さんが普通に戦えるかをチェックするそうです。しばらくぶりですからね、榛名さんが戦闘に出るのは……」
《はい。榛名もしばらく戦っていませんでしたから腕が鈍っていないか心配なんですよね。むしろ今はもう提督の方が練度は高いのではと思う事もありまして》
そう言って榛名は《たはは……》と苦笑いをする。
それに全員も同意で頷いている。
演習ではもうずっと出ずっぱりだったから提督の練度は相当上がっているだろう事は鎮守府のみんなも知っている事だし。
「それじゃ明日を楽しみにしておかないとな」
「そうですね。それで提督。鎮守府の皆さんにはどうお伝えしますか?」
「そうだなぁ……それとなく青葉にでも情報を流しておくか」
「あぁ……青葉さんならすぐに皆さんに知らせてくれそうですもんね」
「あたしも納得できますね」
《青葉さんですから……》
別の意味で全員から信頼を得ている青葉の明日はどっちだ?
そう四人が思っていると盗聴でもしているのではないかという速足で扉が開かれて青葉が執務室に入ってくる。
「司令官! この青葉をお呼びでしょうか!?」
「………呼ぼうとは思っていたが、青葉、お前、盗聴をしていないよな……?」
「してませんよぉ〜。ただ直感で面白い事が起きると判断したまでですぅ!」
「本当かウソかどっちなんだろうな。まぁいいけどな……それならちょうどいい。青葉、今から言う内容を今日中に鎮守府中に伝えてくれ」
提督は青葉に分離薬完成の話をする。
それで青葉は目を輝かせながら、「了解です!」と言って執務室を飛び出していった。
それを見て四人は思った。
青葉には要注意しないといけないな、と……。
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