8時間目
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見もでるものの、すぐに別の意見に塗りつぶされる。
それほどにこの事態は難航していると言えた。
そうして提案と否定を繰り返し、会議が膠着状態へと移ったころ、一人の生徒が会議室を訪れた。
「ふん、やはり何もわかってはいないようだな」
その声を下方向へ皆顔を向ける。
そこにいるは齢600を超える吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだった。
「どうせこんなことだろうと思ったから、いいものを持ってきてやったぞ」
得意げに笑う彼女。
それに対し物腰柔らかに高田先生が話しかける。
「それでエヴァンジェリン君、何を知っているんだい?」
「まあ私もそれほど詳しくはないが、奴の目的と奴が所属している組織、いや里がわかったくらいか」
その発言に全員の間に動揺が走る。
今の今まで話し合ったが結局わからなかった部分が明かされるというのだから無理もないだろう。
「では教えてくれんかのう」
「ああ、無論そのために来た……友人の頼みでもあるしな」
最後の言葉は小さくて一部のものにしか聞き取れなかったが、それでも彼女が何か難しい表情をしたのだけは見て取れた。
「アヤツは麻帆良学園の魔法使いでも魔法世界の魔法使いでもなく、幻想郷の魔法使いだ」
幻想郷。その言葉に一人を除き、皆は首をかしげる。
「ふむ、大昔に祖父からそのような話を聞いたことがあるの、なんでも日本のどこかにある妖怪と人間が共存する隠れ里じゃとか」
「ほう、さすがぬらりひょん知っていたか」
ぬらりひょんではないのぅ、という学園長を無視し彼女は続ける。
「じじぃの言った通り幻想郷は日本のどこかにある結界に閉ざされた隠れ里、普通の人間ではまず到達できず、この世から忘れ去られた妖怪や物がたどり着くらしい」
「ふむ、聞いたことはないけどその幻想郷の魔法使いがどうして麻帆良学園にやってきたんだい?」
高畑先生が問う。
「手紙によればやってきたというよりは元からここにいたらしいが……、あやつの目的は『卒業』だ」
「はい?」
その答えに素っとん狂な声を上げたのは誰だったか、いや声には出さずとも皆心の中で同じような疑問符をあげていたことだろう。
「あやつはまだ年端もいかぬ子供らしいからな、高校を卒業するまではここで過ごすそうだ」
「卒業……、ああだからあと四年なんて言っていたのか」
高畑先生は昨夜の出来事を思い出し納得するかのように手をうつ。
「となると彼女は中学三年生といったところかのう? それでもまだ特定するには至らぬが」
「さあな、正体に関してはこれにも書かれてはいないが、それよりも私は貴様らに忠告しにきた」
忠告、と聞いて場の空気が
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