10話→放課後@アリーナ
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『IS』使いの戦いは、もはや常人の目には見えない。
見えるのはたった二人、お互いだけ。
「だがなあ!」
そう、だが、ここで太郎は賭けに出る。
生まれつきの才能の差を必死で埋めた凡才たる自分が、無茶に耐えてくれた相棒と得たこの技を。
『老兵は死なず、ただ消え行くのみ』
トリガーとなる言葉を吐くと、瞬間、彼の姿が消えた。
そう、視認からもレーダーからも『消えた』のだ。跡形もなく。
「太郎!どこに……」
あまりの事に心配の声を上げる千冬が見たのは
背後で脇腹に拳を打ち出す黒い機体であった。
「くっ!」
即座に反転し、振るった斬撃の線上で、またもや消える黒い機体。
気づけば、彼の機体は二十メートル先にいた。
剣戟で体勢が崩れた白騎士に、エネルギー・ガンを向けて。
次の瞬間、光の雨に晒された白騎士と共に、千冬は試合終了のアラートを聞いた。
「っしゃあ!勝ったぜ!」
目の前で喜ぶ太郎に、私服に戻った千冬は無言でつかつかと近づき……
ガバッ
無言で全身をまさぐった。
「うひぃ!?何すんだよ千冬」
急なボディータッチに焦る
「お前、最後の技はなんだ、あれは!体は大丈夫なのか!?」
珍しい焦る千冬の声に、太郎は抱き返しながら答えた。
「大丈夫、大丈夫だから。心配してくれてアリガトな」
太郎はずっと考えていた。
どうやれば、千冬という戦闘の天才に自分は勝てるか。
最初は近接メインの彼女を圧倒的弾幕で仕留めることを考えた。
数回後に斬り落しの極致のような剣閃を見せられて、止めた。
次は煙幕と閃光弾で視角を奪ってみた。
『勘』と言われて胴を切られた。
止めた。
で、俺は考えた。
俺単体で考えず、ISを着た俺独自の技を考えられないか?
そこからは孤独な戦いだった。
幸運な事に、高校生で弁理士の資格を取った俺は束の、天才の発明を真っ先に見る権利がある。
その幸運を逃さず、国に正式な書類にして提出する際に、何度も何度もその発明を自身のIS戦闘に組み込んだらどうなるかシュミレートする日々。
結果、見つけたのがこの『技』
ISには、武器を量子化して持ち運べる特殊な領域がある。
これは本来、かつて月にて基地のパーツを運んだように、人型のISが宇宙にモノを持ち運ぶ際に利用するものである、が、そこで俺は考えた。
武器も俺も、究極的にいってしまえば、『物質の集合体』であることには変わりない。
ならば、『自分自身を量子化し、再構築することは可能なのではないか』
その案を束に話すと、流石に心配されたが、そこは俺。
『君の事を信じている〜』から始まる、常人
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