High School D×D
[2/4]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
せざるを得なかった。
母はもう助からないのだと。
此度の襲撃は堕天使と人間の血を引くハーフである自分が原因であることを。
だがこれは余りにも理不尽だ。
母と自分が何をしたというのだ。
許せなかった。
下手人達の存在そのものも、何も出来ない不甲斐ない自分自身にも。
助けて……
誰でも良いから……
母を、愛する母を助けてください
もし神がいるのなら母を……
「ふん、愚かな。"汚れた血"を庇い、死に絶えたか」
「……!」
「何だ、その目は。だが、案ずることはない。貴様も直ぐに母の下へ送ってやる」
私はどうなっても構わないから、"母"を助けてください……!
遂に下手人の男が刀を振り下ろし、朱乃の命を刈り取ろうとした刹那──
突如、眩いまでの極光がその場に迸った。
『……!?』
瞬く間に黄金の輝きがドーム状に広がり、下手人達を吹き飛ばす。
その光は神社を包み込み、日本全土に及ぶ。
惑星を、世界そのものを震撼させ、極光は天へと立ち昇った。
視認できる程のエネルギー、否、対面するだけで理解せざるを得ない生物としての圧倒的な差。
膨大な光の本流が集束し、人の形を創り出す。
浮かび上がるは首元にリングを下げ、珍妙な杖を持つ長身の男性のシルエット
冷や汗を流し、此方を睨み付ける下手人達とは対照的に朱乃は終始冷静であった。
何時しか身体の震えは止まり、万能感にも似た絶対的な安心感を感じていたのだから。
やがて極光の中から一人の男性が現れる。
髪は黒、瞳の色は真紅
その佇まいは洗練され、今なお光の粒子をその身から放出している。
彼は宙に浮遊し、周囲を見渡していた。
だがそんなことは朱乃には関係なかった。
母を、愛する母をただ助けて欲しかった。
「お願いします……!母を、母を助けてください……!」
「私はどうなっても構いませんから母を、母を助けてください……!」
涙を流し、朱乃は頭を必死に下げる。
既に母は事切れている。
先程から母は死人のようにピクリとも動かない。
出血は止まり、地面を壮大に紅く染め上げているのだ。
これで生きている方が奇跡だ。
「どうか……!母を……!」
朱乃の魂の懇願に対して目の前の男性は微笑みながら、その手に有する杖を回転させた。
奇抜な装飾が施された杖に取り付けられた球体が淡く発光する。
そしてその杖を母である朱璃に振りかざした。
途端、母の身体を光が包み込む。
光は瞬く間に消え、その姿を虚空へと消失させる。
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ