暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは『絶対零度の魔導師』
アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
白き地獄の底で@
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る事となった。アースラでも衝撃は大きく、すぐに主だった人間が艦橋に集められた。

「30分で民間人の退避はどこまで出来る?」

「……精々戦場予定付近の住民を遠ざけるくらいです。街全体を避難させる事はとても……」

「それだけでいい、すぐに取り掛かってくれ。」

矢継ぎ早に指示を出すクロノ。そこにアースラの主要メンバーが姿を表す。

「クロノ君!」

「来たか。今、アージェント政庁からこの要求への対処の全権がアースラへと移管された。……要求に従う事も含めて。」

つまりは、責任を取りたくない政治家が、体よく押し付けた形だ。

「だが、僕は要求を飲むつもりは無い。ここで奴を捕らえる。」

そこでクロノは一度、周囲を見回す。他のメンバーはともかく、なのは達三人はやや思案顔だ。

「それしか……無いのかな?」

「どういう事だ?」

「このまま戦っても街が危ないし……あの人の目的が妹の治療なら、交渉もできるんじゃないかな、って。」

なのはが街と住民を気遣ったのは事実だが、本心を言えば、暁人の事を根っからの悪人だとは信じたく無かったのだ。あの純粋な妹を持つ兄が、只の悪人である筈が無い、と。

「……そうだな、そういう手もあるかもしれない。」

「ならーーー」

「だけど、それは出来ない。」

「っ、何で!?」

食い下がるなのはに、クロノも厳しい顔をする。

「……奴と交渉してしまったら、管理局が武力に屈して要求を飲んだ、という前例を作ってしまう。それだけは、避けなきゃならない。」

その手の前例は、一度でも作ってしまえばおしまいな事を、クロノは良く知っていた。

「それに……奴も本気で差し出すとは思って無い筈だ。」

「……どうして?」

「奴も管理局が武力での要求に屈すると考える程浅はかじゃ無い。……恐らく、アルカンシェルを封じる為だろう。」

実際、都市部から離れたテロリストの拠点を、アルカンシェルで文字通り『蒸発させた』作戦の例は、過去にいくつもある。

「30分の猶予は、それまでに民間人を遠ざけておけ、というメッセージだろう。つまり、奴は……」

そこで言葉を切るクロノ。モニターに映る暁人を睨み、何か恐ろしい物を見るような目で続けた。

「奴は、この場で抵抗戦力を全て叩き潰すつもりだ。その上で、堂々と正面からスノウスフィアを奪う。追撃される心配もない。そして……いつから考えていたのかは分からないが、奴にはこの事件を始めた当初から、この瞬間まで見えていた事になる。」

そう、震えそうになる声を押さえて告げるクロノ。恐らくゴーレムであろうあの氷像だが、あれだけの数を一度に作る事は一人では不可能だ。つまり暁人は、以前からコツコツと作り溜めておいた事に
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