暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第253話 運命
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
憶障害を患っていたのだ。
 原因は外傷性、そして心因性である事は判るが、精神科に移し 精神療法等出来うる事を全て試したのだが 改善する事は無かった。

 この時の院長……、まるでその事を喜ぶ様に 歓喜した院長の顔を今も忘れる事は出きなかった。 

 だが、悪い事だけではなかった。
 
 過去を覚えていなくても、今を生きる事。そして まるでふりだしに戻された様なものだが、新たに学んだりする事に彼女はとても意欲的だったから。リハビリも精力的に行っていき、それと並行して行ったのが医学と量子物理学の分野の勉強だった。
 ありとあらゆる知識を吸収していき大人顔負けの能力を存分に発揮させていったのをこの目で見続けたことは記憶に新しい。記憶が無くなる前の彼女がどんな少女だったか、想像は難しくない。恐らくは天才と呼ばれる部類だったのだろうと。そして それ以上に笑顔が素敵な少女だったのだろう、と。

 彼女の養父母との話も何度かした。

 当初は警戒をしていたのだが、どうやら 彼女の命を助けた側だと言う事、そして 握り潰そうとしている大きな力を感じている事、そして何より優しく彼女と接している所を見た時、安心した。……安心したと同時に 何もしない上に対して更に憎悪した。

 どんな世界にもフィクサーと呼ばれる者が存在する。黒く淀んだ部分と言うのは必ず存在する。そして常人では手の届かない雲の上の相手。彼女が大丈夫なら、元気なら他はもう考えない様にした方が良いと思いだした頃だった。

 それらが一気に殆ど壊滅すると言う前代未聞のニュースが沸き起こったのは。

 言い訳の 『い』の字も決してできない証拠を抑えつけられた。隠蔽する事など出来ず、あらゆる場所にリークされ、消してはリークされを続けられ、逃げ場はもう無かったとの事だ。

 そして まるで最初から判っていたかの様に、黒幕が潰れたのと同時にそれと関わり、利益を貪っていた連中も芋づる式に逮捕されていった。この病院の院長も例外ではなく 捕まった。まるで日本の悪党を洗浄(ロンダリング)されている様にも感じた出来事だった。



 それから暫くしての事だった。
 日本が世界に誇る天才少年として、ニュースに大々的に取り上げられる様になったのは。



「あの時の天才少年…… HN:RYUKI。稀代の天才プログラマー」
 
 倉橋は、リュウキの方を見て過去を思い返していた様だった。

「同じく天才と称された茅場明彦にも遅れを取らない所か、凌駕する程だったと言われていた少年が春香くんと繋がりがあったとは…………。色々と納得できる所もあるけど、それでももう少し、もう少し時間があったなら」

 それだけが どうにもならなかった。
 日向春香は もうこの病院にはいない。……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ