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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
「11」 その4
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俺は違和感を持つ。
少しずつだが目が慣れつつあったのだ。
先程よりもフィールドを把握できようになっていた。
霧の中でもなんとなくは理解できていたが、今俺がいるのは十字路の真ん中。
相手の攻撃は一方通行ではなく、相手は俺を切ったあとに方向転換をして十字路を上手く利用している。
動きに規則性はない。
じゃあどう対処するか。
そう、ここでさっき打たなかった手を打つわけだ。

俺は3mはありそうなコンクリート壁を2つ召喚し、道を2つだけに絞る。
日本刀の間合いを考えれば十字路の中心はギリギリ広いくらいで多分、対処できる。
何より、相手の攻撃を把握できる。
だが今に至るまでに6割は魔力量を消費している。
コンクリート壁はサイズも合わせて、消費が激しい。

使い切ればウィザード・トーナメントまでに完治させるのはかなり厳しい。
俺は日本刀を両手持ちして霧の中に突撃する。
まず一刀目。
陽炎のようにゆらゆらと現れる相手に対して横に振る。
それは空を切る。
すると、それに合わせて腰くらいの位置を何かが結構な速度で通過していった。
俺は敵の動きを更に絞るためにこの道も塞ぐ。
そして敵の縦横無尽な動きをある程度法則性のあるものにすることに成功した。
もう敵がどこにいるのかは理解できる。
しかし、ここで問題だ。
3つ目のコンクリート壁の召喚でこれ以上魔法を使えないことが分かった。
道を完全に塞ぐことは不可能だ。
俺はすぐさま十字路まで引き返す。
そこには間違いなく誰かがいた。
恐らく道を塞がれて困惑したんだろう。
俺は二撃目を振るう。
今度は一撃を受け止めた。
刃の摩擦で生じる火花とびくともしない手応え。
そこに相手がいるのは間違いない。
しかし、ここで再び別の問題が起こる。
出血による立ちくらみだ。

景色が揺らぎ、一瞬平衡感覚を失う。
その隙に相手は競り合いから抜ける。
また俺の真横を通過していったからさっき塞いだコンクリート壁の前にいるはずだ。
今度は走らなくても追い付ける。

だが状況は最悪だった。
魔力量はウィザード・トーナメントまでに完治可能なギリギリのラインまで減少。
体は多くの斬撃を受けたダメージが蓄積。
更に傷口からの大量出血で朦朧とする意識。
正直、立っていられるのが奇跡かも知れない。


「なんだよ。やっと面白くなってきたと思ったら、もうジリ貧なんじゃねーか。」

「クソが!」


次の瞬間、両足からフワッと力が抜ける。
糸が切れた人形のように俺は膝を付く。
そう、既に勝負は決していたのだ。
やがて膝立ちも厳しくなり、コンクリート壁にもたれ掛かった。


「呆気なかったなぁ...でも、面白かったから感謝の意を込めて丁重に殺してやるよ。お前が終
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