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とある3年4組の卑怯者
97 戦時中(あのとき)
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う事が義務でした。当時ここで町内会長を務めておりました各務田会蔵は戦争を肯定する発言をし、戦争に反対する者、および日本が負けるなどと言ったものは厳しく罰しました。時には息子の出吉も利用して戦争を反対する家族は徹底的に差別し、虐待を行いました」
「そうだ、私も子供の頃、戦争を反対したからと相当な事をされた。非国民という理由で何かと殴られたり、家に石や泥を投げつけられた!」
 永沢の父は昔の苦悩を思い出した。
「そうですか。永沢さんもあの時のように・・・。私の娘も私が出征すると知って泣いていた時に、出吉に臆病者だの非国民だのと言われて殴りつけられた事がありました。私も戦争は正直嫌でした。あの時の旦那様、つまり坊ちゃまのお爺様は戦争を反対するような発言は控えるよう言われましたので、私は我慢してきたのですが・・・。戦争が終わりますと、各務田は別の街に移り、戦争の反対を貫き通してきた愛と平和の戦士などと偽り、各地の町内会長や商店会会長の座を狙おうとしましたが、戦時中に非国民と罵られた人が事実を報告した事で阻まれたのです」
「実は、私の父も、その実態を暴こうとした事があるんだ」
「ええ、そうなのかい!」
 永沢は自分の祖父が元町内会長を懲らしめたという事実に驚いた。なら、息子の出吉が復讐をするのも筋が通るかもしれないと思った。
「その後暴力団と関係を持ち、賭博などでお金を稼ごうとしていたようで幾度か逮捕されたようです。その後の消息は私にも判っておりませんが、死亡説も耳にしております」
「あんた、大丈夫なのかい?あんなのに追われて!これからどうするの!?」
 永沢の母が心配した。
「そうだ、どこに逃げよう・・・!!」
「そうだ、ヒデじい、当分の間、永沢クン達を僕の家に泊めてもいいかな?Guest用の部屋を貸してあげよう」
「え?はあ、坊ちゃまがそう仰るなら構いませんが・・・」
 ヒデじいは別なる心配を抱えていた。
「いいんですか!?ありがとうございます・・・。お兄ちゃん、あんたいい友達持ったねえ・・・」
 永沢の母は泣きながら花輪に礼を言った。
「おい、母さん・・・」

 藤木達は大会の開催地である、御殿場市内のスケート場を訪れていた。
「ここか・・・」
 リンクに入ると既に幾人か練習を始めていた。藤木はおそらく彼らもこの大会の出場者の一人に違いないと考え、和島だけでなく、彼らに打ち勝たなければという熱意と緊張で溢れた。
「じゃあ、父さん、母さん、練習してくるよ」
 藤木は両親にそう告げると、練習を始めた。

 とある空き家。この家の居住者は亡くなっており、誰も手を付けず、家の中は埃が少し溜まっていた。そこに一人の男がその幾人の暴力団の人間と共に隠れ家(アジト)として使用していた。その男の名は各務田出吉。彼は自分の父を堕落
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