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大雨の中で
第四章

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 残るは指揮官一人だった、その状況を確認してだった。
 指揮官はガス太郎に背を向けてだった、自分のところに来た飛行船に慌てて跳び乗って逃げようとした。だがそこで。
 ガス太郎がまた白い炎を放った、その炎で飛行船は灰になった。あまりにも高温の炎だったので消し炭どころか瞬時に灰になってしまったのだ。
 大阪二十六戦士とジャビット団の戦いは今回も戦士達の勝利に終わった、それで戦士達はガス太郎のところに集まって彼に言った。
「連中は御前を侮っていたな」
「大雨の中では力を出せないとな」
「そして侮ってな」
「敗れたな」
「いや、本当にお水は苦手だよ」
 ガス太郎は彼等にこう答えた。
「それは事実だよ」
「ああ、しかしな」
「戦えない訳じゃない」
「今みたいに戦えるからな」
「全力を出せばな」
「戦えるからな」
「白い炎でな」
「それが出来るからな」
「長い時間は戦えないけれど」
 全力でそれはだ、ガス太郎の体力にも限界があるのだ。
「けれどね」
「戦うことは出来る」
「そして敵を倒し大阪の街と人達を護ることは出来る」
「連中はそれがわかっていなかった」
「それが連中の今回の敗因だ」
「苦手なものがあってもそれに打ち勝つ」
 ガス太郎は仲間達にこう言った。
「それが戦士だよね」
「そうだ、俺達だ」
「大阪二十六戦士だ」
「苦手なものはある」
「誰でもな」
「しかしそれにも打ち勝てる」
「いざという時にはな」
 まさにそれがというのだ。
「だから御前も出来た」
「そして勝ったんだ」
「大雨にも」
「うん、疲れたけれど」
 炎の中で最も熱い白い炎を全力で出した為にだ、それも二度も。
「勝ったね、そして大阪の街と人達を護れたよ」
「そのことを祝おうな」
「勝ててな」
「御前がいないと東成区を護る戦士がいなくなるんだ」
「この東成区もな」
「だから僕は負けないよ、これからも」
 例えどんな状況でもとだ、ガス太郎は仲間達に笑顔で約束した。そして彼等と共にだった。
 雨が止んだので空を見上げた、厚い雲と雲の間から眩い太陽が姿を見せていた。


大雨の中でも   完


                  2018・1・23
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