第四章
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「今年は最高のバレンタインだよ」
「有り難う、手作りだからね」
そえでとだ、みのりは夫に笑顔で答えた。
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
「いや、本当に美味しいから」
「ただ大きいから」
「食べ過ぎて太るかもな」
このことは夫の彰の方から言った、毎日泳いでいるので身体は引き締まっているがそれでも言った。
「明日は余計に泳ぐか」
「いつも以上にっていうのね」
「そうしようか」
「いいかもね、それとね」
みのりは母と話したことを思い出しつつ彰にさらに話した。
「もう一つあるわ」
「もう一つって?」
「虫歯よ」
このことをここで言った。
「それも気をつけて」
「ああ、それだね」
「そう、虫歯もあるでしょ」
「甘いものを食べると」
「それがあるから」
それ故にというのだ。
「気をつけてね」
「じゃあ食べた後は」
「寝る前までにはね」
「歯磨きしておくよ」
「そこはしっかりしてね、本当に虫歯になったらね」
「歯は戻らないから」
「そう、だからね」
母に言われたことを夫にそのまま話した。
「気をつけてね」
「そうするよ」
彰はみのりの言葉に確かな顔で頷いて答えた、そうしてだった。
みのりが作ってくれたチョコレートを最後の一欠片まで食べてから妻にあらためてこう言ったのだった。
「じゃあ歯を磨いてお風呂にも入って」
「後はね」
「一緒に寝ようか」
夫婦でと言うのだった。
「そうしようか」
「ええ、そうしましょう」
みのりは夫の提案に笑顔で答えた。
「今日もね」
「もうそろそろ子供も欲しいし」
「バレンタインは確か聖バレンタインが結婚させた日だったかしら」
「処刑された日じゃなかった?実は生きていたらしいけれど」
「そうだったかしら」
「まあ困っているカップルを幸せにしたって話だし」
彰は難しいことはあえて考えずこう言った。
「それならね」
「いいっていうのね」
「そうじゃない?まあ深く考えずにね」
「今夜は特別に聖バレンタインを思って」
愛し合う二人を結び付けたというこの人物を頭の中に入れつつとだ、ゆかりは彰に返した。
「そうしてね」
「一緒に寝よう」
「そうすべきね」
「バレンタインだからね」
彰はそのみのりに応えた、そのうえで二人の夜を過ごすのだった。夫婦のバレンタインはチョコレートだけでは終わらなかった。
夫婦のバレンタイン 完
2018・1・21
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