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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第653話】
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「あいつも大変だなぁ……。 やっぱ女子って男子に免疫ないからウーパールーパーみたいに扱うんだろうなぁ」


 群がる集団を眺める一夏は相も変わらず、同席していた箒は黙々と魚の煮付けを箸で切り分けて食べていた。


「お? 箒、その煮付け美味そうだな……」

「ん? 確かに美味しいが……それがどうしたのだ」

「あぁ、せっかくだから一口くれないか?」


 一夏の悪い癖、人の食事が美味しそうに見えると必ず一口という。

 一夏への想いが曖昧になりつつある箒はすまなそうに眉根を下げる。


「あ、いや……。 私が口をつけたから、すまない……」

「ん? そんな事俺なら気にしないぜ? ほら、最近だって食べさせあいっこしてたじゃん」

「そ、それはそうなのだが……」


 妄信的に一夏を想っていて尚且つヒルトを敵だと思っていた時期の事だ。

 無論今はそんな想い等抱いていない、寧ろ気にかけてもらっていて反発していたのだ。

 穴があれば入りたいとさえ思ってしまう。

 悶々と考えている箒、一夏は箒なら良いだろうと軽い気持ちで箸で切り身を一口とる。

 箒が気付いた時には既に一夏の口内へと切り身は入り、咀嚼――満足そうな笑みを浮かべると箒に――。


「おぉ!? 今日の煮付けって美味いなぁ。 何か隠し味入れてるんだけど……」

「…………」


 返答を待たずに切り身を食べた一夏に、箒は呆れた顔を浮かべると箸を置き――。


「……一夏、そんなに美味しいのなら私のも食べればいい。 私はもう充分食べたからな」

「お? サンキューな箒! やっぱ持つべきものは幼なじみだな!」


 屈託のない笑顔を浮かべ、遠慮なく箒の昼食を食べる一夏を他所に席を離れる箒。


「んぐ? 箒、何処行くんだ?」

「……化粧室だ、馬鹿者」

「そっか。 じゃあまた後でな」


 箒の口から出たのは咄嗟の嘘だった。

 何となく一夏の側を離れたいと思った箒の嘘、だけど何処か心が少し軽くなった様な気がしたのは気のせいだろうか――。

 食堂を後にした箒、入り口付近にいる上級生を掻い潜り、抜け出る。

 昼からの授業は多分模擬戦込みの内容――改めて自身の実力を見直すきっかけになればと思い、廊下を歩いて曲がり角を曲がったその時だった。

 考え事をしながら歩いていた箒は曲がり角で誰かとぶつかってしまった――不意に体勢を崩して尻餅を打つ箒、ぶつかった相手はヒルトだった。


「わ、悪い箒。 怪我はないか?」

「だ、大丈夫だ。 此方こそすまない、考え事していて前方不注意だった……」


 箒は見上げる様にヒルトを見ると、其処には尻餅をついた箒に手を差し伸
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