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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第252話 見つけてくれる。見つけてくれた。
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わたし、わたしはサニーのこと、何も考えないで……。なんにも、考えないで……。舞い上がって……。だって、だって あなたが、いちばん会いたかった……はず、なのに……っ」


 ランが全てを知ったあの時。
 

 今までは、シウネーがあの時に言った通りだった。確かに彼と出会う度に、話をする度に心が温かくなる気持ちになった。頬が紅潮していった。心音も高鳴った。

 全部が初めての事だった。そして舞い上がってしまっていた。

 シウネーに言われて、自分の気持ちにもはっきりと気づいて、そして 気にしないで良いとも言われた。
 

 きっと、サニーも同じ様に言っただろう。


 頭では判っていても。それでも、ランはこうも思ってしまったんだ。






―――………裏切ってしまったんじゃないだろうか。


 


 と。













「姉ちゃん……」
「………あっ、ユウ。 なに? どうしたの……?」

 ランは、後ろにユウキが来た事を察し 素早く目元を拭って涙を払った。
 ユウキに涙を流していた所を、泣いていた事を隠す様に 素早く拭って振り返った。

「いつ……以来かなってさ。ここにこれだけ長くいるのって……」
「ん? あー そうだね。もうずっとVRMMOの中だったから。そう言えば 随分久しぶりに感じるよ。……この場所にいるのって」

 此処は、そう。彼女(サニー)と初めて出会った場所。
 明るく太陽の光を一番浴びる事が出来る場所。 一番、この病院で温かい場所。

「ボク、やっぱり思うんだ」
「ん?」
「ボク達が……ここでこうやっていられるのだって、全部、全部 サニーがくれた。命を、ボク達にくれた」

 ニコリと笑うユウキ。その目にはランの時と同じく 涙が流れていた。

「サニーはボク達にとって、かけがえの無いひとだったよね。……ボク達の、ここでの全てだった……よね」

 涙を流しながらも、決して笑みを絶やす事なく、ユウキは続けた。

「ボクは、サニーの事大好きだった。……姉ちゃんもそうだよね?」

 訴えかける様に言うユウキ。その返答は直ぐにランはした。間髪入れずに。

「当たり前……だよ」

 嘘偽りのない想いだ。
 何も考えず、いや 考える前に口に出せる程に。息をする。そんな当たり前の事の様に。

 それを見たユウキは続けて言う。


「姉ちゃん。……もう 自分を許してあげて。姉ちゃんは何も悪くないから。……サニーだって、そう言う筈だもん。ぜったい……ぜったいっ!」


 そして、ユウキはランに駆け寄って、まだわずかにだが震えているランの身体を抱きしめた。

「……バレてたんだ。……はは。
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