暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第252話 見つけてくれる。見つけてくれた。
[2/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
う』
『い、いえいえ。御馳走だなんて、そんな悪いですよ』
『ええ。寧ろ私達が御馳走したいです。……2人のあんな笑顔。随分と久しぶりに見られた気がしますから。本当に感謝しています。勿論、春香ちゃんにもです。ありがとう』
『お互い様……と言う事にしましょう。私達も感謝しています。あの子に友達が出来たんですから……』
藍子や木綿季の目には 春香の母親に見えた。自分達の両親と話をしている内に笑顔が増えた。相乗効果と言うのだろうか、笑顔の質が変わった、と思えるほどだったんだ。
出会いがあり、世界の色さえも変わった気がした。
心から温かくなれた。
そして、更に嬉しい事が起こり始めた。病院で検査をした家族の結果。……前回判明していた減少を続けていたとある数値が留まりをみせた。一番危険な場所の一歩手前ではある事は変わりないかもしれないが、希望の兆しが間違いなく見えた。
その切っ掛けが 日向 春香との出会いからだと 信じて疑わなかった。
「………」
少しだけ違和感があった。
風に当たって靡く自身の髪。最近では長く……長く 旅を続けていたからなのだろう。あの
仮想世界
(
VRMMO
)
での姿。仮の姿ではあるが長らく共にし続けてきたもう1人の自分。僅かではあるが、今の自分とは違う部位。そう、髪の長さだってその1つだ。長さが違うから風の感じ方ひとつが違う様に感じる。
普段は、そんな事わざわざ考えたりはしないのに…… 今は何故だか考えてしまう様になっていた。 いや違う――。わざと無理でも深く考えようとしていたんだ。まるで 紛らわせる様に。
「どうすれば……良い、かな。サニー……。私は 逃げてしまいました……。貴女が想っていた相手を、心から会いたいって願っていた人と、私が出会えたのに……」
この時ズキリと心に鈍い痛みを感じた。見えない刃物で身体を貫かれる様な、そんな痛みも続けて……。
「なん……で、かな……? なんで……なの……? なんで、サニー……あなたじゃ、なかったの……? なんで、サニーが……」
目に自然と涙が溜まる。
溜まった涙が溢れ流れだす。
そして、もう今はいない人に。いつもこの場所にいた彼女に 座って笑顔を向けてくれていた彼女に語り掛ける様に、ランは続けた。
「わたしは…… ドキドキ、しちゃってた。本当にサニーの言った通り、でした。サニーが想ってた人は、とても格好良くって ……どこか可愛い所もあって。ほんとに全てが魅力的でした。……それも全部全部、サニーの言った通り……で」
ランの脳裏に 二度とは戻らない日々の思い出が蘇ってくる。
大切な人の思い出を、記憶の断片を必死に探って、組み立てて 思い出しながら話すその姿を。
「
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ