暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン86 百鬼の疾風と虚無の仮面
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いという疑念。このデュエルが始まってから初めて、三沢の思考がミスターTの論理を上回った瞬間だった。

「その様子だと解説の必要もなさそうだが、一応宣言させてもらうぞ。ガルドスの羽根ペンは俺の墓地の風属性モンスター2体をデッキに戻し、場のカード1枚を持ち主の手札に戻す。2体のドラグニティを戻し、俺が選ぶのは火車、お前だ!」

 翠緑の風が吹き、轟々と燃える火炎の車がまるで燃え尽きたかのように消えていく。地獄の熱気がふっと和らぎ、ついにフィールドには何もなくなった。

「火車は、自分フィールドにアンデット族が存在しない限り何の役にも立たないカード。そんなものを手札に抱え、何をするつもりだ?」
「いいや、違うさ。俺がやりたかったのは火車を手札に戻すことじゃない、これで俺のフィールドにモンスターはいなくなった!墓地のトラップ、もののけの巣くう祠の効果を発動!このカードをゲームから除外することで、墓地のアンデット族1体を効果を無効にして特殊召喚する……もう1度黄泉より帰れ、九尾の狐!」

 九尾の狐 攻2200

「今度こそ最後のバトルだな、ミスターT。九尾の狐でダイレクトアタック、九尾槍!」

 再び現世に復活した白面金毛の大妖怪が、尾の一撃を飛ばす。ミスターTの宗元に吸い込まれるように打ち込まれたそれが、その闇の体を串刺しにした。

 九尾の狐 攻2200→ミスターT(直接攻撃)
 ミスターT LP900→0





「よく考えてみるがいい。こうして私を倒したところで、その活躍を誰が知る?勝とうが負けようが誰も知りようがない、誰も見ていない。それでもその戦いを続ける意味があるのかね?」

 ライフをすべて失ったミスターTの体が、捨て台詞と共に薄れて消えていく。どうにか撃退に成功した安心感も相まって、考えてはいけないと思いつつもつい思考がミスターTの発言の方へと延びる。誰からも知られない、ならばそこに何の意味があるのか、か。

「もうこんな時間か……」

 これ以上考えると本格的に危険な方に傾きそうな思考を誤魔化すために壁にかかっていた時計の方を見て、わざわざ小さく口に出してつぶやく。気が付けば、ミスターTとのデュエル開始から30分が経過していた。そろそろ鮫島校長は皆にこの危機を、そしてこれから始まる作戦を伝えることができただろうか。そう思う彼の注意を、床に転がったままのPDFの着信音が引いた。拾い上げて通信相手の名を確認し、通話ボタンを押す。

「天上院君、どうし……」
『残念だったね、吹雪だ。今明日香からPDFを借りてね、いつの間に妹のアドレスなんて手に入れていたんだい?もっとお堅いタイプだと思っていたが、なかなか隅に置けないところもあるじゃないか』
「いや、これはセブンスターズの時に……それより
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